公益法人が取引先を選定するに当たっての留意点

梅本寛人
(うめもと・ひろと 弁護士)

はじめに

 公益法人は、公益目的事業等の各種事業を行うに当たって、あるいは、法人としての運営ないし管理を行うに当たり、日々、実に様々な「取引」を行っている。ここにいう「取引」とは、典型的には「契約」のことを指すが(例えば、法人の主たる事務所として利用するためのオフィス物件につき賃貸借契約を締結する、社員総会を開催するため会場の利用契約を締結するなど)、会計上の取引はこれよりも広い意味で用いられる(資産、負債、正味財産、費用、収益に増減を生じるような事象は、すべて取引として認識される。)。
 本稿では、以上のような意味を有する「取引」のうち、主として契約関係を中心に、契約締結の相手方となる「取引先」につ

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