公益・一般法人の横領事件の実態―報道事例から探る問題点―
2022年09月23日

出口正之
(でぐち・まさゆき 国立民族学博物館名誉教授・元内閣府公益認定等委員会委員)
(でぐち・まさゆき 国立民族学博物館名誉教授・元内閣府公益認定等委員会委員)
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目 次
はじめに
内閣府はこれまで 2 度にわたって財産管理に関するリーフレットを作成(注1)し、財産管理に関する注意を呼び掛けている。また、大阪府でも本年3月31日に「貴法人の財産管理について(通知)」を出して注意を喚起している。
公益・一般法人の横領等の事件は本来、あってはならないものであるが、残念ながら、後を絶たないのも事実である。本稿では、国内での公益・一般法人の横領等事件の実態をはじめ、法人側の対応、行政庁の対応など公開資料で公表されているものから、その事例等を紹介しつつ、今後の法人サイドの対策を考えていきたい
Ⅰ 公益・一般法人の有する危うさと横領事案の実態
公益・一般法人の横領の実態が、例えば企業と比べて多いのか少ないのかといったデータは存在しない。企業の場合には、内部統制の問題として処理されることが多く、よほどのことがない限り、ほとんど報道されることはない。それに対して、公益・一般法人の場合にはその公益性ゆえに報道されることも多く、社会からは頻発しているように受け止められているだろう。以下の表1は、最近の新聞報道などから筆者が作成したものであり、これをみると決して少ないとは言い切れない。法人名はすべて実名で報道されているが、表の中では実名は伏せている。
とりわけ、公益・一般法人は、各事業者が有している財産に比べて事務局員の数が圧倒的に少なく、事務局員が1人になるケースも少なくないと考えられる。担当者が仮に1人ではなく、複数で財産管理や経理に携わっているような場合でも、コロナ下でリモートワークが進めば容易に 1 人となりうるのであり、横領等の事案が発生するリスクは、ほとんどすべての法人に常にあるといって
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