非営利型法人が特別の利益供与をした場合の課税の脅威

苅米 裕
(かりごめ・ゆたか 税理士)
  • CATEGORY
    • 時事解説・裁決事例
  •  対 象 
    • 公益法人・一般法人
目  次

Ⅰ はじめに-特別の利益供与の認定-

公益法人(注1 )及び一般社団法人等(注2 )のうち非営利型法人は、法人税法において、公益法人等(法法2 ①六)に含まれ、税制優遇措置として表象される収益事業課税の対象としている(注3 )。
これにより、一般社団法人等について、法人税の課税所得の範囲は、非営利型法人には収益事業課税を適用する一方で、非営利型法人以外の法人には全ての所得に対して法人税を課税することになる。そうすると、非営利型法人として存続することは、一般社団法人等の業務に与える影響から重大な課題となり、理事会等の機関運営において、法人税法に規定する要件の充足状況の入念な監視が求められることになる。とりわけ重要な要件として、「特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを決定し、又は与えたことがないこと」(法令3 ①三、②六、以下「特別の利益供与」という。)を挙げることができる。この特別の利益供与とは、税法の規定にしばしばみられる不確定概念といえ、一般社団法人等の事業運営において、見逃しそうな行為等に潜むものであり、法令等の適合判断に窮するものである。
 
また、非営利型法人として収益事業課税の適用を受けている一般社団法人等は、特別の利益供与の認定を受けた場合、全ての所得に対して法人税が課税されることに転換する想定があるとしても、これまで税制優遇措置を受けてきた反動として、さらに重大な課税問題に派生することを意識しながら事業運営を行っているとは感じられない。
新公益法人制度がスタートして約10年、平成30年6 月8 日の日本経済新聞において、一般社団法人(以下「本件一般社団法人」という。)が非営利型法人の要件を欠落し「追徴税額は過少申告加算税を含め計約20億円に上るとみられる」(注4 )旨が

この記事はシェアコモン200利用法人限定です。

※ライトプランの方は一部記事のみお読みいただけます。

利用法人の方は、下記からログインしてください。
シェアコモン200のサービスについて、詳しく知りたい・登録したい方はお問合せください。

ログイン

無料登録いただくと、公益・一般法人に関する無料登録の方限定記事や
各月の作業内容をつかめる実務カレンダーがお読みいただけます。

  1. 公益法人・一般法人に特化した専門書籍を10%オフで購入できます!
  2. 最新の法改正に関するセミナーなどの情報を受け取れます!
  3. よくある相談と専門家の回答をメールにてお届けします!
無料登録はこちら

月刊公益オンラインとは

財団法人・社団法人に特化した支援プログラム"シェアコモン200"の利用法人様向け実務専門誌『月刊公益』の記事を中心に、公益・一般法人に関するニュースや専門家による解説などをお届けする情報配信プラットフォームです。

詳しくはこちら
専門誌

無料登録のご案内

「月刊公益オンライン」に無料登録すると、登録の方限定の記事をご覧いただけるなど、実務に役立つさまざまな特典をご用意しております。

特典1

限定記事や
実務カレンダーが読めます!

「月刊公益オンライン」の無料登録の方限定記事や各月の事務局の作業内容がつかめる「実務カレンダー」をご覧いただけます。

特典2

最新の法改正に関する
セミナーなどの情報を受け取れます!

公益認定法改正など、最新の法改正とその対応に関するセミナーをはじめ、公益・一般法人の運営に必要な知識を深めることができる講習会の情報をお受け取りいただけます。

特典3

よくあるご相談内容をピックアップして
メールにてお届けいたします!

よくあるご相談内容に弁護士や税理士などの専門家が回答するQ&A集を、メールにてお受け取りいただけます。日々の業務のお困りごとや疑問解決にお役立てください。

特典4

公益法人・一般法人に特化した専門書籍を
10%オフで購入できます!

月刊公益オンラインを運営する公益法人協会では、社団・財団法人のための出版物を多数発行しております。無料登録いただいた方は、通常価格から10%割引でご購入いただけます。