遊休財産保有上限額を超過した場合の対応策
2020年02月21日

齋藤 健
(さいとう・つよし 公認会計士・元内閣府公益認定等委員会事務局課長補佐)
(さいとう・つよし 公認会計士・元内閣府公益認定等委員会事務局課長補佐)
財務三基準のひとつである「遊休財産規制」。公益法人は各事業年度の末日における遊休財産が、その年度の公益実施費用額を超えてはならない。ここでは遊休財産規制の概要と限度額を超過してしまう原因、そして対応策について解説する。
はじめに
公益認定基準のうち、収支相償、公益目的事業比率、遊休財産規制の3つの基準は、「財務三基準」と呼ばれている。これらの基準額は、公益法人会計基準に準拠した財務諸表を基礎に算出される。そのため、法人の財務状況をしっかり理解し、中長期的視点に立って対策を練ることが、財務三基準を安定的に遵守することにつながる。
本稿は、このうちの「遊休財産規制」について考えてみたい。
Ⅰ 遊休財産規制の概要
遊休財産規制とは、毎事業年度末日における遊休財産額は、当該事業年度における公益目的事業の実施に要した費用の額を超えてはならない(認定法第5条第9号、第16条)という規制である。換言すれば、保有の目的が具体的に定められていない財産については、1年分の公益目的事業費相当額しか保有することができないというものである。
遊休財産額は以下の計算式によって算出される。
<遊休財産計算式>総資産-負債-(控除対象財産-対応負債)=遊休財産 ≦ 公益目的事業費
つまり期末の貸借対照表に計上されているすべての資産から、負債の部に計上されている額を差し引き、その額から具体的な保有目的が定められている財産(控除対象財産)額を除いた額(負債を財源とする控除対象財産については、当該負債額については、資産側と負債側で二重に控除することを防止するため加算。)を遊休財産額として計算する。当該遊休財産額について、正味財産増減計
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