内閣府世論調査に示された公益法人に対する寄附の意向
2019年04月19日

上松公雄
(うえまつ・きみお 税理士・大原大学院大学准教授・全国公益法人協会首席研究員)
(うえまつ・きみお 税理士・大原大学院大学准教授・全国公益法人協会首席研究員)
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目 次
まえがき
平成30年12月14日に内閣府より「NPO法人に関する世論調査(平成30年10月調査)」に係る報告書(以下、「本報告書」という。)が公表された。この調査は、NPO法人に関する国民の意識を把握し、今後の施策の参考とすることを目的として、①NPO法人に関する認知度と利用、②NPO法人などに対する寄附意識、③「共助・支え合い」の活動に関する意識について調査が行われたものである。なお、調査対象は、全国18歳以上の日本国籍を有する者を母集団として「層化2段無作為抽出法」により抽出した3,000人とされている。調査方法は、「調査員による個別面接聴取法」が採られ、調査時期は平成30年10月11日から10月21日までの間とされるので、相応に手間と時間と費用とが費やされた調査となっている。
有効回収数(率)は1,671人(55.7%)であり、「性・年齢別回収結果」は、【表1】のとおりであったことが併せて公表されている。
本稿においては、本報告書における各種の集計から公益法人に関する部分を中心に確認するものとする。
表1 性・年齢別回収結果
Ⅰ 寄附に対する意向及び寄附の対象としての団体・法人
非営利法人に対する寄附金の状況などに関する統計資料としては、「公益法人の概況及び公益認定等委員会の活動報告」(内閣府)や『寄付白書』(日本ファンドレイジング協会編)の各年版が存在するが、本報告書においては、まず、調査対象者が寄附そのものをしたいと考えるかどうか、そして、寄附をする場合の対象は、どのような団体、法人であるか(複数回答)について調査されている。まず、寄附をしたいかどうかについては、全体で85.2%の者が「寄附をしたい」と考えており、この割合は都市部においてより高く、「町村」が80.3%であるのに対して「東京都区部」は90.9%となっている(ただし、「政令指定都市」は82.6%に止まる。)。
なお、本報告書において、「大都市」とは、東京都区部、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市の各都市とされている。地域別では、北海道(89%)及び北陸(89.3%)、中国(90.4%)が高い割合となっている。
次に、寄附の対象として挙げられるのは、①共同募金会(赤い羽根)(51.3%)、②日本赤十字社(46.9%)、③町内会・自治体(29.6%)、④学校・同窓会(20.2%)が上位となっている。『寄付白書』においても、共同募金会及び日本赤十字社は寄附金の規模が大きい団体・法人として挙げられていたところであり、寄附者の意向と拠出の実態とが結びついた結果が示されているものと理解される(注)。
なお、「公益社団法人・公益財団法人」(3.2%)は、候補に挙げられた団体・法人のうちでは最下位で、NPO法人の半分以下となっている。「公益社団法人・公益財団法人」が個人から寄附を集めることに関しては、かなり厳しい環境が存在するものと認められる。
「寄附したい」との意向を持つ者の割合が相対的に低い、「政令指定都市」(82.6%)及び「小都市」(83.3%)においては、却って、寄附の対象として挙げる者の割合が高くなっているのは(政令指定都市4.6%、小都市3.7%)、興味の湧く結果である。
地域別では、「公益社団法人・公益財団法人」を候補に挙げた者の割合が高いのは、東海地方のうち静岡、愛知、三重の3県であり、そのなかの政令指定都市である「静岡市」「浜松市」「名古屋市」において、寄附をする際の選択肢として「公益社団法人・公益財団法人」に対して若干多くの視線が向けられているものとする仮説を唱えることができるように思われる。
集計表6 寄附に対する意向及びその対象としての団体・法人
Ⅱ 男女別・年齢別の意向
本報告書においては男女別及び年齢別(10歳刻み及び5歳刻み)に、次に掲げる【表2】~【表4】のようにその意向について集計されて月刊公益オンラインとは
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