定期健康診断と 労務管理 
―基礎知識からエンゲージメント向上施策まで―

森垣佳子
(もりがき・けいこ 特定社会保険労務士)

Ⅰ はじめに

常用労働者を 1 人以上雇用している事業者には、 1 年以内ごとに 1 回の定期健康診断 (以下、定期健診)の実施が労働安全衛生規則44条で義務付けられています。そのため定期健診については当然の義務として実施してきた法人も多いでしょう。
しかし、この定期健診、当たり前であるがゆえに、「受診時間は労働時間なのか」「受診中に賃金は発生するのか」といった労務管理上の知識がおざなりになり、慣習的に手厚い処遇となっているケースも散見されます。その一方で、戦略的に利用すれば、職員のエンゲージメントを高める施策となるのも定期健診です。   
そこで本稿では、特定社会保険労務士の森垣佳子氏に、法人が実施する定期健診等について解説いただくとともに、職員のエンゲージメント施策としての活用法もアドバイス いただきました。(聞き手・構成 中田正則)

Ⅱ 定期健診と労働時間、賃金の関係

――そもそも定期健診の時間は、労働時間に含まれるのでしょうか。森垣 結論から言えば、基本的には定期健診を受ける時間は、労働時間に入りません。定期健診は、いわば働くことに健康上の問題がないかどうかの確認なんですね。事業者(法人)は労働者が労働できる身体であるかどうかを確認し、その結果に基づいて(体調や状況を考慮して)残業や出張制限など、就業上 の措置を検討する義務がありますが、健康管理や健康を保つ義務は労働者側にある、と考えられています。つまり、定期健診そのものの実施義務は事業者にありますが、健診を受けている時間は労働時間には入らないという考え方です。 ――定期健診は職員がしっかりと業務に臨めるかを確認することが主たる目的なんですね。森垣 そうです。ただし、特定業務の従事者に対する特定健診は

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