公益法人会計・監査への期待

(おおたちめ・かつや 公認会計士・税理士)
本年4月から公益法人制度が変わった。新制度に対応するため、昨年12月には内閣府公益認定等委員会から「公益法人会計基準(令和6年基準)」が、また、本年5月には日本公認会計士協会から「非営利法人委員会実務指針第45号「公益法人会計基準を適用する公益社団・財団法人及び一般社団・財団法人の財務諸表に関する監査上の取扱い及び監査報告書の文例」(令和6年基準)」がそれぞれ公表された。これらにより新制度に対応する会計・監査の枠組みが整った。議論を重ね、これらの公表にご尽力された関係者の皆様に敬意を表したい。
令和6年基準は広く国民にとってわかりやすい財務情報の開示を実現することをひとつの目的としているが、公益法人、学校法人、社会福祉法人、医療法人をはじめとする様々な非営利組織の財務報告の比較可能性を高めることを理念として、日本公認会計士協会により公表された「非営利モデル会計基準」を基礎とするものである。そのような意味で他の非営利法人組織の会計基準改正と足並みを揃えることがより望ましかったものと考えるが、このような意義を認め、非営利法人の先陣を切って改正を行ったことは称賛に値する。
しかし、今回の改正では附属明細書に「財務規律適合性に係る明細」や「中期的収支均衡に関する数値及びその計算の明細」といった第一義的には行政管理目的のための情報が含まれるとともに、リース会計等の複数の適用除外措置や簡便的会計処理の採用、公益法人において生じる可能性のある会計処理を網羅的に規定せず、財務報告の目的に照らし合理的に会計処理を選択することなど、公益法人独自色も一定程度強い基準となった。これらのように今後の非営利法人間はもとより公益法人間での財務報告の比較可能性や国民にとってのわかりやすさについては課題を残しているものと考えられる。
「内閣府公益認定等委員会 公益法人の会計に関する研究会」が公表している「公益法人会計基準の検討経過」では、令和6年基準への移行状況を注視し、会計基準をめぐる環境変化等も踏まえ、随時必要な見直しを行っていくことも含め、今後も継続的に検討を行うこととしている。新制度移行までの時間の関係から十分に検討ができなかった項目があるのであれば今後の検討・対応に期待したい。また、行政管理目的情報も監査対象となったことから、日本公認会計士協会による会計監査人のこれらに対する理解の浸透施策についても併せて期待するものである。
大手監査法人勤務時に公益法人監査や各種サポート業務に従事。日本公認会計士協会非営利法人委員長、日本公認会計士協会公益法人専門部会専門委員長、内閣府新公益法人制度に関する相談員、内閣府公益認定等委員会公益法人の会計に関する研究会参事を歴任。現在は金融機関において事業会社へのサポート業務のほか、一般法人設立、公益法人への移行や公益信託設定業務に従事。
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