年末調整の「扶養」ルールを簡単整理
―所得税と社会保険の違いとは?―

中村友理香
(なかむら・ゆりか 公認会計士・税理士)
 

Ⅰ はじめに

 令和7年度税制改正を巡り、「年収の壁」問題が争点の1つとなりました。この年収の壁とは、収入がある一定額を超えると、所得税、住民税、社会保険の負担が生じたり、配偶者側で配偶者控除等の諸控除を受けられなくなるといった、当該収入額のことを指します。壁には制度ごとに複数の種類があります。
 「年収の壁」を別の側面から見ると、配偶者等の扶養親族に該当するか否かによる、税金や社会保険の負担の違いという問題につながりますので、扶養親族の対象範囲を正しく理解することは大変重要です。
 本稿では、所得税と社会保険制度における「扶養親族」の考え方を理解し、年末調整時に職員から質問を受けても適切に受け答えができることを目指しています。重要な用語(太字)は用語解説で確認し、本文と照らし合わせてお読みいただければ幸いです。 

Ⅱ 所得税における扶養親族の範囲

 令和7年12月1日から、所得税法における扶養親族の収入要件が大幅に見直され、控除対象扶養親族として申告できる条件が緩和されます。これにより、特に大学生等がいる世帯の税負担軽減が図られています。扶養親族の基本的な要件は、次のとおりです。● 配偶者以外の親族● 納税者と生計が同一● 年間の収入金額が、給与収入のみであれば123万円以下(所得58万円以下)● 他の納税者の扶養親族となっていない(二重に扶養控除を適用することは不可のため)● 青色申告ないし白色申告者の事業専従者でない ただし、親族のうち年齢19歳以上23歳未満の親族(特定親族)については、123万円を超え188万円以下の給与収入であれば、令和7年度の年末調整以後、令和7年度税制改正で創設された特定親族特別控除の適用を受けることができます【図表

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