【景気短評】経常収支黒字増加は定着するか

門多 治
(慶應義塾大学理工学部非常勤講師)

 2014年度の国際収支統計が公表され、13年度の1.4兆円から7.8兆円に経常収支黒字が拡大した。この増勢は本物か、また、その影響はどうか。今回は経常収支と、その内訳である貿易・サービス収支、所得収支の動きを見てみよう。
 国際収支は、対外収支の変動を伴う一国の経済活動の結果を示すものであり、月毎の変動も大きく、しばしば大きく報道されるものの、物価、成長、雇用などと異なり、政策目標とされることは外貨獲得が必須の途上国以外では稀のようである。ただ、幅広い経済活動の動きを迅速に反映するため、通関貿易統計と合わせてみれば、個別の国内生産財・サービスの輸出競争力等の変化を示すものとして注目される。
 貿易収支に関しては、昨年3月1日の本欄で、2013年の通関統計(速報)での10年対比1
                           

この記事は有料会員限定です。

Copy Protected by Tech Tips's CopyProtect Wordpress Blogs.