【景気短評】消費統計の特徴をつかむ
2020年05月14日
山澤成康
(やまさわ・なりやす 跡見学園女子大学教授)
(やまさわ・なりやす 跡見学園女子大学教授)
景気を判断する上で、消費動向は重要だ。最近の統計をみると、消費は回復しているのか低迷しているのか、分かりにくい。その端的な例は、2015年10月の統計だ。総務省の家計調査は前年比2.1%減であるのに対し、経済産業省の小売業販売額は同1.8%増だった。ここまで正反対の結果が出ることは稀だが、家計調査の方が低めに出る傾向にはあるようだ。
家計調査が低めに出やすいことには理由がある。調査の回答者は、すべての品目の家計簿を毎日つけなければいけないので、手間がかかる。このため回答者は高齢者や主婦などに偏っている可能性がある。また、調査協力者に浪費家は少ないと考えられ、実態より消費額が低めに出る可能性がある。
一方で、購入先の構造変化には強い。販売統計は、店舗数の変動やインターネット経
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