平成28年度税制改正が公益・一般法人に与える影響

橋本俊也
(はしもと・としや 税理士)
  • CATEGORY
    • 税務、税制改正
  • 対象法人格
    • 公益法人・一般法人
  • 対象職位
    • 管理職・職員
目  次
 
平成28年度税制改正において、どの部分が公益・一般法人に影響を与えるのか、担当者が知っておくべき項目をピックアップし、分かりやすく解説する。

はじめに

平成28年度税制改正においては、成長志向の法人税改革をより推進し、制度改正を通じた課税ベースの拡大等により、法人実効税率の「20%台」への引下げを実現するための法人税制を中心とした改正が行われた。
今年度の税制改正において、公益・一般法人に影響を与える項目としては、第一に公益法人への個人寄附に係る税額控除制度の拡充である。このため、本稿では、公益法人に対する寄附金控除制度を詳細に説明する。
もうひとつの項目として奨学金貸与事業を行う公益法人に限られるが、印紙税の非課税措置の創設があり、これも採り上げる。
さらに、公益・一般法人に対する税制優遇措置を解説し、公益・一般法人の役職員の皆様に知っておいてほしい法人税の改正事項、企業版ふるさと納税、消費税の軽減税率、納税環境整備の項目についても解説したい。

公益法人に影響を与える改正項目

寄附税制の拡充

●小規模な公益法人に対する寄附金控除制度の要件緩和
一定の公益性が担保され、個人寄附に係る税額控除が認められている小規模な公益法人(注1 )の事務負担能力に配慮して、公益活動を促進する観点から、税額控除の対象となるために必要な寄附者数の要件を事業規模に応じて緩和された。
公益認定を受けた行政庁から租税特別措置法等に定められている要件を満たしている旨の証明を受けた公益法人に対して、個人が2,000円を超える寄附金を支出した場合には、所得控除方式との選択により、2,000円を超える金額の40%(所得税額の25%相当額を

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