【解説】タブレット・パソコンでも可能!? 公告・備置きの見直しと留意点

茂木高次
(もてき・たかじ 行政書士)
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    • 法人運営・公告・備置き
  •  対 象 
    • 公益法人・一般法人
目  次

はじめに

 IT化の進んだ現在では、日常生活やビジネスの世界のいたるところで、書類の作成・保管について、従来の書面での作成・保管から、タブレット・パソコン等での作成・保管が一般化してきている。当然ながら、公益法人、一般法人(以下「法人」という。)の運営上においても同様なことが言える。
 法人は、計算書類等を事務所に備え置き、閲覧等の請求があれば閲覧させなければならない。計算書類等は書面での作成・保管のほかに、電磁的記録での作成・保管も認められているが、法人の実務担当者が実際に電磁的記録で行おうとした場合、電磁的記録で行う際の留意点等について体系的に詳しく書かれたものは見当たらないことから独自の判断で行わざるを得ない状況のようである。
 本稿は、法人の実務担当者が実際に電磁的記録で行おうとする場合の留意点につき、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(以下「電子文書法」という。)、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(以下「電子帳簿保存法」という。)等の関係法令にも触れながら解説するものであるが、電磁的記録を包含するIT化の環境は複雑なため、本稿では、法人の実務担当者が実際に利用できる手段について説明する。
 なお、本稿における解説は、すべて筆者の責任に帰すべきものであり、誤りなどがあれば、ご指摘をいただければ幸いである。

法令により開示の対象となる書類ならない書類

開示すべき書類等

 本稿では開示を公告、備置き・閲覧等と同じ意味で使う。一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法人法」という。)、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「公益法人認定法」という。)及びその整備法等の中で、書面・電磁的記録での開示を規定しているものは次のとおりである。法令で規定されている以上、法人は当然ながら開示の義務を負うので、公告や事務所に備え置く等の措置が必要である。

【法で定められている書類一覧】
<一般法人法>
①  定款の備置き及び閲覧等(第14条・第156条)
②  社員名簿の備置き及び閲覧等(第32条)
③  社員総会議決権の代理権を証明する書類の備置き及び閲覧等(第50条)
④  社員総会における議決権行使書面の備置き及び閲覧等(第51条・第52条)
⑤  社員総会・評議員会議事録の備置き及び閲覧等(第57条・193条)
⑥  社員総会・評議員会の決議の省略における同意書の備置き及び閲覧等(第58条・第194条)
⑦  理事会議事録及び理事会の決議の省略における同意書の備置き及び閲覧等(第97条)⑧  会計帳簿の作成及び保存(第120条)
⑨  会計帳簿の閲覧等(第121条)
⑩  計算書類等の作成及び保存(第123条)
⑪  貸借対照表等の公告(第128条)
⑫  計算書類等の備置き及び閲覧等(第129条)
<公益法人認定法>
⑬  財産目録等(事業計画書、収支予算書、事業報告、財産目録、計算書類等、役員名簿、報酬支給基準等)の備置き及び閲覧等(第21条)<公益法人認定法施行規則>
⑭  特定費用準備資金の取崩しについての定め、特定費用準備資金の積立限度額及び算定の根拠についての備置き及び閲覧等(第18条)⑮  寄附等による財産で交付した者の定めた使
                           

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