問題従業員の「降格・給与引下げ」の
判断基準と適正な手続方法
2020年06月25日
石井妙子
(いしい・たえこ 弁護士)
(いしい・たえこ 弁護士)
- CATEGORY
- 労務解説・降格/給与引下げ
- 対象法人格
- 公益法人・一般法人
- 対象部署
- 総務・人事
- 対象職位
- 役員・管理職・職員
目 次
- Ⅰ 懲戒処分と人事処遇
- Ⅱ 懲戒処分としての降格・減給 1 懲戒権濫用法理
- Ⅲ 人事権行使としての降格・降給 1 根拠規定の要否
- Ⅳ 降格・降給制度の留意点 1 降格・降給規定
2 降格処分・減給処分
2 人事権濫用法理
2 評価に応じて降格される場合
3 降格・降給制度の新設について
4 賞与減額について
Ⅰ 懲戒処分と人事処遇
問題従業員の降格や給与引下げ(降給または減給)には、「懲戒処分」として行われるものと、「人事処遇」として行われるものとがある。懲戒処分は、企業(法人)秩序を乱す行為に対する制裁として、懲戒権の行使として行われるものである。人事処遇としての降職・降格は、適材適所の人の配置・適正な処遇の観点から、人事権の行使として行われるものである。
例えば、能力不足による成績不良は、一般的には、「企業(法人)秩序を乱す行為」ではなく、制裁の対象ではないから、懲戒処分としての降格等にはなじまない。能力不足は、適格性の問題であり、通常は人事権行使としての降格等の対象となる。もっとも、成績不良の原因・背景として法人内ルール違反、指
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