フランスの「公益の増進の徹底した改革」と日本の「失われた10年」
2020年12月14日
出口正之
(でぐち・まさゆき 国立民族学博物館教授・元内閣府公益認定等委員会委員)
(でぐち・まさゆき 国立民族学博物館教授・元内閣府公益認定等委員会委員)
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- 時事解説・フランス
- 対 象
- 公益財団法人
目 次
- はじめに
- Ⅰ フランスの公益法人の歴史的・制度的な発展
- Ⅱ 今世紀における制度改革と財団の発展
- Ⅲ 高い財団成長率
- Ⅳ 財団活動の具体例
- 1 ルイ・ヴィトン財団
- 2 ノートルダム大聖堂の再建と財団
- 3 新型コロナウィルス感染症と財団
はじめに
フランスでは、1,000年を超える財団の伝統があったのだが、17世紀から18世紀において、ルイ14世とルイ15世が、生産経済の外に置かれ相続税を課税できない既存の財団の権利を制限し、新しい財団の設立を禁止した。他のヨーロッパ諸国では、財団が徐々に近代化されたのに対して、さらに1789年のフランス革命においても、財団の伝統は根絶され、欧州の中で取り残された。財団が貴族階級のツールと見なされ、公益のための活動に対する国家独占によって財団の財産は没収国有化され、社団・財団など中間団体の禁止などが盛り込まれた「ル=シャプリエ法」によって欧州の中でも突出的に財団及び社団の活動が沈下してしまったのである。ところが、フランスでは、この10年ほ
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