利益相反・競業取引の考え方と役員等の「兼職状況」チェックシート
2018年12月20日

渋谷幸夫
(しぶや・ゆきお 全国公益法人協会特別顧問)
(しぶや・ゆきお 全国公益法人協会特別顧問)
他法人の役員を兼職している理事が自法人を犠牲に他法人の利益を優先していないか。本人にそんなつもりはなくても、もしかしたら利益相反・競業取引に該当しているかもしれない。では、どんな場合が該当するのだろうか――。
Ⅰ 利益相反・競業取引規制の基本的考え方
1 利益相反取引
⑴ 利益相反取引規制の基本的考え方 理事は、法人に対して善管注意義務を負う(法64条・172条1項、民法644条)とともに、忠実義務を負っている(法83条・197条)。このことから、理事は、自己又は第三者の利益を図るために、法人の利益を犠牲にすることが禁止されている。理事が直接法人と取引を行う場合や、第三者を代理・代表して法人と取引を行う場合には、本来法人の利益を図らなければならない理事が、法人の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図る危険が高いと考えられる。
また、法人と理事以外の者との間の取引であっても、理事個人の債務を法人が保証する場合のように、理事と法人の利益が相反する場合には、直接の取引の場合と同様に、法人の利益が犠牲にされる危険がある。
そこで、法人と理事が取引をする場合や、法人と理事以外の者との取引であっても、理事と利益が相反する場合には、法人の利益の犠牲において、理事が自己又は第三者の利益を図ることを防止するため、あらかじめ法人の承認(社員総会・理事会の承認)が必要とされている(法84条1項2号、3号・197条、92条1項)。
⑵ 利益相反取引の分類① 直接取引 一般法人法84条1項2号(法197条)は、「理事が自己又は第三者のために法人と取引を行うこと」を規制している。理事が直接法人と取引を行う場合や、理事が第三者を代理・代表して法人と取引を行う場合に、この2号の適用があ
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