公益法人が取引先を選定するに当たっての留意点
2019年09月20日

梅本寛人
(うめもと・ひろと 弁護士)
(うめもと・ひろと 弁護士)
- CATEGORY
- 法人運営・認定基準
- 対 象
- 公益法人
目 次
- はじめに
- Ⅰ 留意すべき公益認定基準
- Ⅱ 「技術的能力」と取引先の選定
- Ⅲ 「特別の利益」と取引先の選定
- 1 条文の構造
- 2 ケースによる説明
- 3 「特別の利益」に関する留意点
- Ⅳ 「ふさわしくない事業、公序良俗違反のおそれのある事業」と取引先の選定
- おわりに
はじめに
公益法人は、公益目的事業等の各種事業を行うに当たって、あるいは、法人としての運営ないし管理を行うに当たり、日々、実に様々な「取引」を行っている。ここにいう「取引」とは、典型的には「契約」のことを指すが(例えば、法人の主たる事務所として利用するためのオフィス物件につき賃貸借契約を締結する、社員総会を開催するため会場の利用契約を締結するなど)、会計上の取引はこれよりも広い意味で用いられる(資産、負債、正味財産、費用、収益に増減を生じるような事象は、すべて取引として認識される。)。本稿では、以上のような意味を有する「取引」のうち、主として契約関係を中心に、契約締結の相手方となる「取引先」について、公益法人が、取引先を選定するに当たり留意すべき事項につき解説する。なお、本稿は、公益法人が契約主体となる場合の公益法人特有の留意点について主に解説するもので、契約や取引の内容に着目した各種の規制とこれについての留意点は割愛させていただいた。
Ⅰ 留意すべき公益認定基準
公益法人は、文字どおり「法人」であり、「法人」というのは、それ自身において権利能力の主体となりうる存在のことである。権利能力というのは法律用語で「取引の主体となり得る資格」のことであるが、その意味では、公益法人は権利能力を有し、本来いかなる取引を行うことも可能である(注1)。もっとも、公益法人が取引を行い、取引先を選定するに当たっては、公益認定基準との関係に留意することが必要であり、特に、「技術的能力」(認定法5条2号)、「特別の利益」(同法5条3号・4号)、「ふさわしくない事業、公序良俗違反のおそれのある事業」(同法5号)といった基準への留意が重要であ
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