公益・一般法人への税務調査の実態― 国税庁「令和元事務年度 法人税等の調査事績」から読み取る
2021年03月10日

上松公雄
(うえまつ・きみお 大原大学院大学准教授・税理士・全国公益法人協会特別研究員)
(うえまつ・きみお 大原大学院大学准教授・税理士・全国公益法人協会特別研究員)
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目 次
国税庁から毎年「法人税等の調査事績の概要」が公表されている。本稿では、令和元事務年度の資料を中心に近年の公益法人等に対する実地調査の状況を整理し、普通法人の調査結果とも比較しながら、公益・一般法人における税務上の問題、課題を検討する。
はじめに
毎年、国税庁から「法人税等の調査事績の概要」(以下、「本資料」という。)が公表されており、令和元事務年度(令和元年7 月〜令和2 年6 月)版が令和2 年11月に公表された。令和元事務年度の本資料において課税対象となる収益事業を行った公益法人等(法人税法別表第2 に掲げる法人)の調査事績が明らかとなった。本資料は毎年公表されるものであり、本誌においても、本資料を基に継続して、財団・社団法人に対する実地調査の状況を整理し、また、他の公益法人等の類型あるいは普通法人に対する実地調査の状況との比較分析を行って、財団・社団法人における税務上の問題点について指摘してきたところである。
ただ、今年度は、新型コロナウイルス禍にあって全体として調査件数が少なく、例年公表されてきたデータが一部示されないなどの影響が出ている。
公益法人等に関係するものとしては、「組織区分別法人税調査の状況」として、組織区分別、つまり、公益法人等の法人類型別の「不正発見割合」「調査1 件当たりの申告漏れ所得金額」「不正1 件当たりの不正所得金額」が示されていない。これらのデータは、本稿において、特に注目すべきものであるが、これらについての言及ができない点に留意されたい。
なお、本稿においては、必要に応じて公益法人等に対する実地調査の状況だけでなく、普通法人等の状況についても触れるが、紙幅の制約上データ元となる「表」などは掲げないので、内容の確認に際しては原典を参照されたい。
Ⅰ 法人税の実地調査の状況
「別表1 」のとおり、本事務年度において法人税の「申告義務のある法人数」は、公益法人等合計で39,684法人(102.4%)であるが、内訳としては、宗教法人13,627法人(100.4%)、財団・社団法人16,067法人(104.8%)、社会福祉法人2,456法人(103.7%)、学校法人2,391法人(101.月刊公益オンラインとは
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