公益・一般法人への税務調査の実態― 国税庁「令和元事務年度 法人税等の調査事績」から読み取る

上松公雄
(うえまつ・きみお 大原大学院大学准教授・税理士・全国公益法人協会特別研究員)
 
国税庁から毎年「法人税等の調査事績の概要」が公表されている。本稿では、令和元事務年度の資料を中心に近年の公益法人等に対する実地調査の状況を整理し、普通法人の調査結果とも比較しながら、公益・一般法人における税務上の問題、課題を検討する。

はじめに

 毎年、国税庁から「法人税等の調査事績の概要」(以下、「本資料」という。)が公表されており、令和元事務年度(令和元年7 月〜令和2 年6 月)版が令和2 年11月に公表された。令和元事務年度の本資料において課税対象となる収益事業を行った公益法人等(法人税法別表第2 に掲げる法人)の調査事績が明らかとなった。
 本資料は毎年公表されるものであり、本誌においても、本資料を基に継続して、財団・社団法人に対する実地調査の状況を整
                           

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