【解説】「事業計画書等」提出前のチェックポイント

大橋智哉
(おおはし・ともや 税理士法人山田&パートナーズ シニアマネージャー)
  • CATEGORY
    • 法人運営・事業計画
  •  対象法人格 
    • 公益法人
  •  対象部署 
    • 総務・経理
  •  対象職位 
    • 管理職・職員
目  次

はじめに

 公益社団・財団法人(以下、「公益法人」という。)は、毎事業年度開始の前日までに当該事業年度の事業計画書、収支予算書、資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類(以下、「事業計画書等」という。)を作成し、行政庁に提出する必要がある。
 本稿では、事業計画書、収支予算書、資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類について、それぞれの作成についての留意点及び、事業計画書等の行政庁への提出についての留意点を解説する。

Ⅰ 事業計画書等の作成

 公益法人は、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するために活動することが求められることから、その事業運営において透明性が確保されていなければならない。このような観点から、公益法人は、事業計画、事業報告等に関する書類の作成・提出・開示が求められている。
 公益法人は、毎事業年度開始の日の前日までに、当該事業年度の事業計画書等を作成し、当該事業年度の末日までの間、事業計画書等を主たる事務所に、その写しを従たる事務所に備え置く必要がある(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律〔以下、「認定法」という。〕第21条第1項、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則〔以下、「認定法施行規則」という。〕第27条)。
 以下、作成すべき書類ごとにチェックポイントを解説する。

1 事業計画書

 事業計画書については、当該事業年度に実施する事業を明確に記載する必要がある。記載内容については、移行認定時もしくは公益認定時に申請書類の「別紙2:法人の事業について」に記載した事業内容を参考にして事業計画書を作成していただきたい(移行認定もしくは公益認定の後に変更認定申請を行っている場合には、最新の「別紙2:法人の事業について」を参考に作成していただきたい)。
 特に「別紙2:法人の事業について」の「〔1〕事業の概要について」には、当該事業の概要(趣旨、内容、事業の対象〔対象者の範囲、数、属性など〕等)が分かるよう具体的に記載されていることから、確認した上で事業計画書を作成していただきたい。

【事業計画書作成のチェックポイント】

□ 事業計画書には、当該事業年度に実 施する事業を明確に記載する。
□ 移行認定もしくは公益認定時に申請 書に記載した「別紙2:法人の事業に ついて」が参考になる。
□ 特に「〔1〕事業の概要について」 は、記載内容を確認した上で事業計画 書を作成したい。

2 収支予算書

 収支予算書については、損益計算ベースかつ事業別に区分された収支予算書数値が記載されている必要がある(認定法施行規則第30条)。ここでは損益計算ベースで作成する必要があり、収支計算ベースではないことに留意する必要がある。決算において作成する正味財産増減計算書(及び正味財産増減計算書内訳表)をイメージしていただくと分かり易いだろう(認定法施行規則第30条第6項)。

【収支予算書作成のチェックポイント】

□ 損益計算ベースで作成されている必要がある。
□ 事業別に区分されている必要がある。
□ 正味財産増減計算書(及び正味財産増減計算書内訳表)をイメージする。

3 資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類

 資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類には、当該事業年度における①資金調達の見込み(借入予定の有無)、②設備投資の見込み(重要な設備投資の予定の有無)について記載する。
 これは上記2の収支予算書が損益計算ベースで作成されることから、損益計算ベースでは借入金や固定資産の計上が表示されないため、これを補完するために資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類の作成が求められている。

【資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類のチェックポイント】

□ 書類の定型フォーマットはないが、ポータルサイト公益法人information(https://www.koeki-info.go.jp/)から様式をダウンロードして使用するのが便利。
□ 損益計算ベースで作成される収支予 算書では表示されない事項(借入金や 固定資産の購入)を補完するための書類である。
□ 事業計画書及び収支予算書と同様に、理事会等の承認を受ける必要がある。

Ⅱ 事業計画書等の提出

 上記で作成した事業計画書等については毎事業年度開始の日の前日までに、行政庁へ提出しなければならないこととされている(認定法第22条第1項)。
 なお、行政庁に提出された事業計画書等については、提出を受けた行政庁においても、閲覧、謄写の請求に応ずることになっている(認定法第22条第2項)。

1 定期提出書類(様式)の入手方法

 定期提出書類(様式)を入手するには、①ポータルサイト公益法人informationでの入手、②行政庁の窓口での入手、③郵送による送付依頼の3通りの方法がある。
① ポータルサイト公益法人informationでの入手
 公益法人インフォメーションにアクセスし、「法人の申請窓口」の箇所で、ID 及びパスワードを入力してから、ログイン後、定期提出書類(様式)を選択することにより、提出書類(様式)をダウンロードすることができる。
② 行政庁の窓口での入手
 行政庁へ訪問し、担当の窓口で申し出れば、定期提出書類(様式)を手交している。
③ 郵送による送付依頼
 郵送による入手を希望する法人は、次の事項を記載した申込書と、返送先(宛て所及び宛て名)を記載し、かつ、必要金額の郵便切手を貼付した返信用封筒を同封の上、行政庁に郵送すれば、郵送申込みを受けた行政庁が、記載事項と必要金額の郵便切手貼付等を確認の上、定期提出書類(様式)を郵送してくれる。
【記載事項】
・申込年月日
・法人の名称
・法人の郵便番号及び住所
・送付先の部署又は担当者氏名
・法人の代表電話番号
・入手したい定期提出書類(様式)の種類

2 提出書類の構成

 行政庁へ提出する事業計画書等は、次の①~⑤までの資料で構成されている。事業計画書等が理事会等の承認を受けたことを証する書類を添付する必要があることに留意しなければならない(認定法施行規則第37条)。

① 提出書(かがみ文書)
② 事業計画書
③ 収支予算書
④ 資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類
⑤ 理事会等の承認を受けたことを証する書類

 上記のうち②~④については前述の通りであることから、ここでは①提出書(かがみ文書)と⑤理事会等の承認を受けたことを証する書類について解説する。
 まず、①提出書(かがみ文書)については「定期提出書類(様式)の入手方法」を参考に様式を入手し、必要事項を記載することになる。
 次に、⑤理事会等の承認を受けたことを証する書類については、下記のチェックポイントに注意して準備していただきたい。

【理事会等の承認を受けたことを証する書類のチェックポイント】

□ 承認を受けたことを証する書類とは、理事会等の議事録を指す。
□ 承認を受けるべき機関については、各公益法人の定款にて確認が必要。
→公益社団法人

  理事会議事録、又は、理事会議事録及び社員総会議事録

→公益財団法人

  理事会議事録、又は、理事会議事録及び評議員会議事録
□ 法務省令で定められるところにより作成された議事録であること。
□ 特に議事録の署名もしくは記名押印については、定款の定めを確認すること。
□ 議事録の作成、署名もしくは記名押印をする時間を考慮して、スケジュールを考える。

おわりに

 3月決算法人の公益法人は3月末日までに事業計画書等を行政庁へ提出する必要がある。事業報告書等の提出と比べると作成書類が少ないが、公益法人のこれからの1年間の活動内容が凝縮された重要な書類であることから、各公益法人でしっかりと検討した上で事業計画書等を作成し、提出期限内にスムーズに提出できるよう、本稿のチェックポイントを参考にしていただきたい。

執筆者Profile
大橋智哉(おおはし・ともや)
税理士法人山田&パートナーズシニアマネージャー。全国の公益法人、一般法人の会計・税務から運営の相談など幅広く対応を行っている。
Copy Protected by Tech Tips's CopyProtect Wordpress Blogs.