其之十 償却原価法

古市雄一朗
(大原大学院大学教授)

満期保有目的債券の取扱い

 公益法人会計をとりまく現行制度及び実務においては、公益法人の会計について、企業会計において用いられる手法がそのまま用いられる場合もあれば、企業会計における処理をベースとして公益法人の運営の実態に合わせる形で必要な調整が行われる場合もある。今回取り上げる満期保有目的債券に関する会計処理は、どちらかというと後者に類すると考えられる。興味深いのは、後述するように、満期保有目的債券の評価差額の計算は企業会計と同じように行われる一方、その差額を企業会計における収益とは異なる形で捉えて記録する点にあるといえる。
 満期保有債券とはその名が示すとおり、長期保有を想定して満期まで保有することを目的として保有する債券であり、余裕資金を用いて購入する社債等の
                           

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