令和 5 年度税制改正が公益・一般法人に与える影響
2023年06月14日
東条美和
(とうじょう・みわ 千葉商科大学専任講師)
(とうじょう・みわ 千葉商科大学専任講師)
Ⅰ はじめに
令和 5 年度税制改正は、日本経済・財政を取り巻く厳しい環境に柔軟に対応すべく、既存の税制をより時代に即した内容とする改正が多く盛り込まれた。法人課税に係る項目としては、研究開発税制における各種項目の見直し、企業による先導的人材投資に係る税制措置、オープンイノベーション促進税制の見直し等がある。中小企業者等については法人税率の軽減税率の特例延長も決まった。
なお、公益法人に直接影響を与える改正としては、公益法人等が普通法人等に移行する場合の所得の金額の計算における変更程度であるが、インボイス制度や電子帳簿保存制度の見直しについても公益・一般法人に広く影響を与える項目であり、注目する必要がある。本稿では、上記の主要な項目について改正の概要を示し、若干の考察を試みる。
Ⅱ 法人区分変更時の課税
公益法人等が普通法人に移行する場合には、それまで非課税であった収益事業以外の事業から生じた所得の累積額に対しても課税されることとなっている。法人税法上は、公益法人等が普通法人に該当することとなった日(以下、「移行日」という。)前の収益事業以外の事業から生じた所得の金額の累積額(以下、「累積所得金額」という。)、または移行日前の収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額(以下、「累積欠損金額」という。)に相当する金額(注 1 )は、移行日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額または損金の額に算入するものと規定されている(法人税法第64条の 4 )(注 2 )。累積所得(欠損)金額の算定方法を式で表すと【図表 1 】のとおりである。この規定により、移行日には既存の普通法人と同様、すべての所得につき課税が行われてきたとみなされるため
月刊公益オンラインとは
財団法人・社団法人に特化した支援プログラム"シェアコモン200"の利用法人様向け実務専門誌『月刊公益』の記事を中心に、公益・一般法人に関するニュースや専門家による解説などをお届けする情報配信プラットフォームです。
詳しくはこちら
無料登録のご案内
「月刊公益オンライン」に無料登録すると、登録の方限定の記事をご覧いただけるなど、実務に役立つさまざまな特典をご用意しております。
限定記事や
実務カレンダーが読めます!
「月刊公益オンライン」の無料登録の方限定記事や各月の事務局の作業内容がつかめる「実務カレンダー」をご覧いただけます。
最新の法改正に関する
セミナーなどの情報を受け取れます!
公益認定法改正など、最新の法改正とその対応に関するセミナーをはじめ、公益・一般法人の運営に必要な知識を深めることができる講習会の情報をお受け取りいただけます。
よくあるご相談内容をピックアップして
メールにてお届けいたします!
よくあるご相談内容に弁護士や税理士などの専門家が回答するQ&A集を、メールにてお受け取りいただけます。日々の業務のお困りごとや疑問解決にお役立てください。
公益法人・一般法人に特化した専門書籍を
10%オフで購入できます!
月刊公益オンラインを運営する公益法人協会では、社団・財団法人のための出版物を多数発行しております。無料登録いただいた方は、通常価格から10%割引でご購入いただけます。
