Vol. 9   1 号財産(公益目的保有財産)の取崩しの考え方

内閣府公益認定等委員会 事務局だよりPLUS+

※ これまでの内閣府メールマガジンの内容を再構成した ものとなります。

 

1 号財産とは

 1 号財産とは、認定法施行規則(注 1 )第22条第 3 項 第 1 号に規定する公益目的保有財産を指します。公益目的保有財産は継続して公益目的事業の用に供するために 保有する財産であり、 1 号財産に該当する金融資産については、原則としてこれを取り崩すことなく、その果実を継続的に公益目的事業の財源に充てることを目的とし て保有すべきものです。  

 貸借対照表等では固定資産に区分して表示し、対象資 産が金融資産の場合には基本財産又は特定資産として表 示するとともに、財産目録には、財産の勘定科目をその他の財産の勘定科目と区分して表示する必要があります (認定法施行規則第31条第 3 項及び第25条第 1 項、ガイ ドライン(注 2 )Ⅰ- 8 .⑴)。

 

1 号財産の取崩し

 しかし、景気の停滞等を原因として、法人が公益目的事業を継続していく上で、当該金融資産を取り崩して事業財源に充てる以外に方法がないなど、やむを得ない場 合には、当該金融資産を取り崩すことは否定されません。

 なお、例えば、今後数年間にわたって、当該金融資産を 取り崩して公益目的事業の財源を確保せざるを得ない状況にある場合には、 1 号財産から特定費用準備資金などに区分替えを行うことが考えられます。特定費用準備資金に区分替えをした場合には、資金の目的である活動の内容及び時期が費用として擬制できる程度に具体的なものであり、 かつ、資金単位でどの事業に関する資金かが判別できる程度に具体性をもって貸借対照表の特定資産として計上する等、特定費用準備資金としての適格性を満たす必要があります(ガイドラインⅠ- 7 .⑸参照)。

 また、取崩しを行おうとする場合には、定款等の内部 規程において、取崩しに係る規定をあらかじめ整備し、 当該内部規程に従い、理事会、社員総会、評議員会等の 機関決定を経る必要があります。このほか、取崩し後の法人の経理的基礎を確認するため、以降の事業計画や財務の見通しについて御説明いただく場合がありますので 御留意ください(FAQ(注 3 )Ⅴ-4-⑦参照)。

 

取崩しか買換えか

 1号財産の取崩しに該当するかどうかの判断に迷う場 合として、 1 号財産に該当する金融資産の買替えがあります。取崩しに該当するか買換えに該当するかについて は、金融資産の果実を継続的に公益目的事業の財源に充 てることを目的として保有すべきという趣旨から、原則として、そのための金融資産の元本が公益目的事業に費 消されずに維持されているかの視点により判断することになります。 したがって、金融資産の買換えに過ぎず、金融資産の 元本自体が公益目的事業に費消されていない場合には、 取崩しには該当しないと考えられます。 ただし、法人では通常、資産運用規程等の内規を定めて資金運用を行っていますので、そこに定められた範囲内の運用(買換え)である必要はありますのでご留意ください。  

 取崩しに該当しないケースとしては、例えば、以下が考えられます。

・ 運用利回りの実績を上げるため、定期預金の満期到来 時に株式を購入する

・ 運用利回りの実績を上げるため、株式を売却し、別の 株式銘柄に買い換える

・ 運用利回りの安定化を図るため、株式を売却し、満期 保有目的債券を購入する

 

【注】

(注 1 )公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則(平成19年内閣府令第68号)
(注 2 )公益認定等に関する運用について(公益認定等 ガイドライン)
(注 3 )よくある質問(FAQ)

文責●内閣府公益認定等委員会事務局

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