賃上げ急増と促進税制にどう向き合うか?
―収益事業を行う法人への影響―
2024年07月31日

吉田忠彦
(よしだ・ただひこ 近畿大学教授)
(よしだ・ただひこ 近畿大学教授)
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目 次
Ⅰ はじめに
「賃上げ促進税制」による政府の後押しもあり、賃上げに踏み切る企業が急増している。非営利法人にとっても、それは対岸の火事ではない。職員の生活を守り、働く意欲を萎えさせないためにも、賃金の引上げは必須となろう。 しかし、「賃上げ促進税制」は税額控除がメリットとなる制度であるため、非営利法人にとってその恩恵は限定的である。一方では、物価高騰や日本全体での賃金の底上げが起こるため、賃上げへのプレッシャーは高まるだろう。できる限りの賃上げを試みると同時に、この際に報酬のシステムをしっかりと見直すことが重要である。加えて、非営利法人においては、金銭的報酬以外の報酬が重要になることに留意すべきである。ここでは、促進税制や公益・一般法人における賃上げへの影響について解説していく。
Ⅱ 政府による賃上げ促進の取組み
1 所定内給与の増加と生活実感のギャップ
厚生労働省が 6 月に発表した2024年 4 月分の毎月勤労統計調査結果によると、基本給に当たる所定内給与が前年同月比で2.3%増加となった。これは29年ぶりの増加率であるという。しかしながら、生活が楽になったという実感はほとんどない。むしろ生活者の我々としては、日本経済の低迷を日々の暮らしの中で痛感せざるをえないのが正直なところである。 コロナ前から準備してきたせっかくの家族でのハワイ旅行なのに、あまりの円安のために外食の余裕がなく、仕方なく現地で自炊しようとお米やフリーズドライの味噌汁などを一家全員スーツケースいっぱいに詰め込んで空港に向かうといったニュースを目にする。一方、国内では光熱費や原材料費から高騰しているので、あらゆるものの値段が容赦なく上がっていく。それでも、災害復興のためな月刊公益オンラインとは
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