「収支相償」から「中期的収支均衡」への改正と法人に求められる対応
2025年12月14日
藤井 誠
(ふじい・まこと 法政大学教授)
(ふじい・まこと 法政大学教授)
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目 次
Ⅰ はじめに
公益法人の認定については、その公益性を担保する指標として、①収支相償、②公益目的事業比率50%以上、③遊休財産保有制限といういわゆる財務三基準が定められていた。このうち「収支相償」は、公益法人が行う公益目的事業において、事業収入が適正な事業費用を超えないことを意味する。しかし、公益法人の公益性を担保する重要な原則でありながら、その判定については、年度単位で行うのか、あるいは、複数年度単位で行うのかを含め、運用面で法人を悩ませてきた。
令和6年の公益法人認定法改正(以下、「改正認定法」という。)により、収支相償は中期的収支均衡という概念に置き換えられた。本稿では、収支相償と中期的収支均衡の異同に焦点を当て、それぞれの内容と両者に共通する問題点を確認するとともに、公益法人に求められる対応について考察する。
Ⅱ 収支相償の趣旨と内容
令和6年改正前の公益認定法(以下、「改正前認定法」という。)では、公益法人が行う事業について、「公益目的事業に係る収入が適正な費用を超えないと見込まれること」(改正前認定法5条6号)とされていた。さらに、「その公益目的事業を行うに当たり、当該公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない」(改正前認定法14条)とも規定していた。収支相償は、公益目的事業が不特定かつ多数の人の利益の増進に寄与するものであることから(改正前認定法2条4号)、無償または低廉な価格設定などによって受益者の範囲を可能な限り拡大することが求められるために設けられた基準である。この基準は、公益法人が税制優遇を受けるための前提となる基準であるとされている(内閣府[2023]196頁)。
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