民間公益活動と「寄付」
(くろだ・かをり 内閣府公益認定等委員会常勤委員)
近年、社会課題が複雑化かつ深刻化しており、不確実性や不安が渦巻く社会において、民間による公益活動への期待が以前より高くなっていると感じる。実際、民間公益活動に流れる寄付額は拡大傾向にある。日本ファンドレイジング協会が発行する『寄付白書2025』によれば、個人寄付は、2024年に2兆261億円になっている。寄付の拡大は、民間公益活動への関心の高まりとともに、社会に定着しつつあるクラウドファンディングや近年注目を浴びている遺贈寄付など寄付の形態が多様化していること、デジタル技術の発展で簡便な支払いが可能になったことなども影響していると考えられる。とはいうものの、米国では、2024年の個人寄付総額は、58兆9,852億円(3,924億米ドル、Giving USA Foundation 2024)で日本の約29倍となっている。日本において、寄付の更なる促進には何が必要であろうか。
前掲の『寄付白書2025』の調査(実施は2024年)や内閣府の調査(2022)の結果を見ると、寄付先を選ぶ際に「寄付金の活動内容」や「使い道が明確で、有効に使ってもらえそうなこと」などが重視されている。一方、阻害要因としては、寄付先への信頼の問題や、寄付が実際に役に立っているのか、また寄付がきちんと使われているのか不安といった声があがっている。
こうした課題に取り組もうと、様々な取組みが行われている。例えば、(公財)日本非営利組織評価センターでは、非営利法人の信頼性を「見える化」するために第三者による評価認証を行っている。(公財)パブリックリソース財団は、寄付先として信頼できる団体を認証するために、独自で開発した寄付適格性認証を用いて専門家が的確な団体を選定し、認証された団体のデータベースを公開している。低所得世帯の子どもへのスタディクーポン提供事業を実施する(公社)チャンス・フォー・チルドレンは、事業が学力に及ぼす影響について外部有識者に効果検証を依頼し、統計的に検証された成果を示すことで寄付者や協働者を拡大している。
筆者が所属する内閣府公益認定等委員会では、寄付の促進を重要課題の1 つに掲げ、対話フォーラムの開催、調査、法人との対話等の機会を増やしている。寄付事業の成果測定の取組み、わかりやすい情報開示の事例などから学ぶことは多い。今後も、広く現場の法人の皆様とコミュニケーションをとりながら、好事例や課題の取組み事例の発信など、できることに注力していきたい。
民間企業、コロンビア大学経営大学院日本経済経営研究所での勤務を経て、米国と日本の非営利法人に約25年間勤務。米国のアジア財団ジャパン・ディレクター、(一財)CSOネットワーク事務局長などを歴任。ISO26000策定に参画し、SDGs推進円卓会議構成員等を務めた。2019年より現職。ハーバード大学教育大学院修士、大阪大学大学院国際公共政策研究科博士号取得。
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