内閣府公益法人会計研究会の「平成30年度報告書」の解説

村山秀幸
(むらやま・ひでゆき 公認会計士・税理士)
  • CATEGORY
    • 会計・内閣府研究報告
  •  対 象 
    • 公益法人・一般法人
目  次

はじめに

平成31年3月12日、内閣府公益認定等委員会に設置されている「公益法人の会計に関する研究会」(以下、「公益法人会計研究会」という。)は、「平成30年度公益法人の会計に関する諸課題の検討の整理について」(以下、「30年度報告」という。)を公表した。
30年度報告は、①研究会が取り纏めてきたこれまでの4つの報告書(26年度~29年度報告)の成果を振り返ること、②今後検討すべき課題の整理、という2つの内容から構成されており、実務における規範性や義務的な内容をほとんど有していない。したがって、多くの公益法人、一般(移行)法人の実務担当者にとってみれば、読むべき必然性はない。情報として知っておいてもよいという程度のものである。
したがって、本稿についても、流して読んでいただいて十分な内容のものである。
本稿は、本誌平成30年7月1日号に拙稿「内閣府29年度研究報告書(案)への提言」を掲載した縁から、本誌編集局の依頼によって執筆した。
なお、文章内の記述や意見は、すべて筆者の責任に帰すべきであり、誤りなどがあれば、ご指摘をいただければ幸いである。

Ⅰ 30年度報告以前の過去4つの報告の振返り

1 アンケートによる「成果の検証」

 30年度報告では内閣府の所管の公益法人にアンケートを実施して、その結果に基づいて「振返り」を行っている。
 30年度報告にはアンケート結果が別添されており、その回答内容から、30年度報告に個別に採り上げられた次の主な検証項目に対して、「受け入れられた」、「活用された」等、公益法人会計研究会は肯定的に評価している。
① 収支相償基準における剰余金解消計画の1

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