公益・一般法人の株式保有を巡る法的問題

伊藤文秀
(いとう・ふみひで 司法書士)
  • CATEGORY
    • 法人運営・内部統制・株式
  •  対 象 
    • 公益法人・一般法人
目  次

はじめに

株式の配当金が運営資金の多くを占める公益財団法人はもとより、低金利下における資産運用方法として株式、投資信託などへの関心が高まっているが、株式保有については公益法人特有の問題が生じることがある。本稿では、こうした株式保有に関わる主に公益法人の運営管理上の問題について解説する。

Ⅰ  株式保有と関係する公益認定基準

公益認定基準に適合しなくなれば公益認定の取消事由(認定法29条2 項1 号)となるため、株式を取得、保有する際に次の事由に該当しないよう留意する必要がある。
 
⑴ 投機的な取引の禁止
投機的な取引を行う事業であって、公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくない事業を行うこと(認定法5 条5 号、同法施行令3 条1 号)。
投機的な取引を行う事業に該当するかどうかは、取引の規模、内容等具体的な事情によるが、例えばポートフォリオ運用の一環として行う公開市場等を通じる証券投資等は投機的な取引に該当しない(公益認定等ガイドラインⅠ- 4 )。
 
⑵ 株式保有の制限
株式会社の議決権の過半数の株式を保有すること(認定法5 条15号、同法施行令7 条)。
 議決権の過半数を超えて保有しようとする場合には、無議決権株にする、議決権を含めて受託者に信託するなどの方法をとる必要がある(公益認定等ガイドラインⅠ-14)。
 
⑶ 収支相償
公益目的事業について、当該公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないものであること(認定法5条6 号)。
主として配当によって公益目的事業を運営している法人が、増配や記念配当などにより予想以上の配当を得られたとき、特に株式を公益目的保

この記事はシェアコモン200利用法人限定です。

※ライトプランの方は一部記事のみお読みいただけます。

利用法人の方は、下記からログインしてください。
シェアコモン200のサービスについて、詳しく知りたい・登録したい方はお問合せください。

ログイン

無料登録いただくと、公益・一般法人に関する無料登録の方限定記事や
各月の作業内容をつかめる実務カレンダーがお読みいただけます。

  1. 公益法人・一般法人に特化した専門書籍を10%オフで購入できます!
  2. 最新の法改正に関するセミナーなどの情報を受け取れます!
  3. よくある相談と専門家の回答をメールにてお届けします!
無料登録はこちら

月刊公益オンラインとは

財団法人・社団法人に特化した支援プログラム"シェアコモン200"の利用法人様向け実務専門誌『月刊公益』の記事を中心に、公益・一般法人に関するニュースや専門家による解説などをお届けする情報配信プラットフォームです。

詳しくはこちら
専門誌

無料登録のご案内

「月刊公益オンライン」に無料登録すると、登録の方限定の記事をご覧いただけるなど、実務に役立つさまざまな特典をご用意しております。

特典1

限定記事や
実務カレンダーが読めます!

「月刊公益オンライン」の無料登録の方限定記事や各月の事務局の作業内容がつかめる「実務カレンダー」をご覧いただけます。

特典2

最新の法改正に関する
セミナーなどの情報を受け取れます!

公益認定法改正など、最新の法改正とその対応に関するセミナーをはじめ、公益・一般法人の運営に必要な知識を深めることができる講習会の情報をお受け取りいただけます。

特典3

よくあるご相談内容をピックアップして
メールにてお届けいたします!

よくあるご相談内容に弁護士や税理士などの専門家が回答するQ&A集を、メールにてお受け取りいただけます。日々の業務のお困りごとや疑問解決にお役立てください。

特典4

公益法人・一般法人に特化した専門書籍を
10%オフで購入できます!

月刊公益オンラインを運営する公益法人協会では、社団・財団法人のための出版物を多数発行しております。無料登録いただいた方は、通常価格から10%割引でご購入いただけます。