公益・一般法人の株式保有を巡る法的問題
2019年03月14日

伊藤文秀
(いとう・ふみひで 司法書士)
(いとう・ふみひで 司法書士)
- CATEGORY
- 法人運営・内部統制・株式
- 対 象
- 公益法人・一般法人
目 次
- はじめに
- Ⅰ 株式保有と関係する公益認定基準
- Ⅱ 基本財産の処分又は除外
- Ⅲ 株式の購入と売却の手続き
- 1 理事会決議の要否
- 2 利益相反取引
- Ⅳ 株式の運用と役員の責任
- 1 役員の善管注意義務・忠実義務と責任
- 2 大規模法人の役員の善管注意義務・忠実義務
- 3 リスク管理体制の内容
- Ⅴ 株式の信託
- おわりに
はじめに
株式の配当金が運営資金の多くを占める公益財団法人はもとより、低金利下における資産運用方法として株式、投資信託などへの関心が高まっているが、株式保有については公益法人特有の問題が生じることがある。本稿では、こうした株式保有に関わる主に公益法人の運営管理上の問題について解説する。Ⅰ 株式保有と関係する公益認定基準
公益認定基準に適合しなくなれば公益認定の取消事由(認定法29条2 項1 号)となるため、株式を取得、保有する際に次の事由に該当しないよう留意する必要がある。⑴ 投機的な取引の禁止
投機的な取引を行う事業であって、公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくない事業を行うこと(認定法5 条5 号、同法施行令3 条1 号)。
投機的な取引を行う事業に該当するかどうかは、取引の規模、内容等具体的な事情によるが、例えばポートフォリオ運用の一環として行う公開市場等を通じる証券投資等は投機的な取引に該当しない(公益認定等ガイドラインⅠ- 4 )。
⑵ 株式保有の制限
株式会社の議決権の過半数の株式を保有すること(認定法5 条15号、同法施行令7 条)。
議決権の過半数を超えて保有しようとする場合には、無議決権株にする、議決権を含めて受託者に信託するなどの方法をとる必要がある(公益認定等ガイドラインⅠ-14)。
⑶ 収支相償
公益目的事業について、当該公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないものであること(認定法5条6 号)。
主として配当によって公益目的事業を運営している法人が、増配や記念配当などにより予想以上の配当を得られたとき、特に株式を公益目的保
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