公益法人制度改革は何をもたらしたか ―「世紀転換期非営利法人制度改革」という視点から―
2018年11月22日

岡本仁宏
(おかもと・まさひろ 関西学院大学教授)
(おかもと・まさひろ 関西学院大学教授)
公益法人制度改革はどのような流れの中で実施されたのか。そして改革によってもたらされたものとは―。医療法人やNPO法人、社会福祉法人といったお隣の非営利法人の動きから今後の展開について考える。
はじめに
公益法人制度改革は、「世紀転換期非営利法人制度改革」の一環として捉えることが重要である。第一に、特定非営利活動促進法(通称NPO法、以下「特活法」と略記)の制定(1998年)、関連する税制改正、さらにその後の一連の重要な法改正、第二に、公益法人制度改革三法の制定(2008年、移行期間5年)と関連する税制改正、これらがこの中に含まれることは容易に想定できる。
しかし、第三に、医療法人制度改革(第5次医療法改正、2006年公布、翌年施行)、第四に、社会福祉法人制度改革(2016年公布、同年部分施行、翌年完全施行)、がある。さらに、第五に、中間法人法(2001年公布、翌年施行)の制定と廃止(2008年)とが、特活法と公益法人制度改革の間に行われていたことも忘れるべきではない。
この一連の改革は、単に非営利法人・公益法人の改革という点のみならず、第一に、明治期、戦後期の二期に続く日本における第三期市民社会セクターの法制度改革期であること(注1)、第二に、新自由主義的な規制緩和と民間への業務の移行(民営化)圧力があったこと、第三に、市場化とは異なる非営利公益活動への社会的評価の高まりの元で行われたこと(注2)、等の一般的特性がある。
日本では非営利法人制度が、第二期に多様な法人格に分裂したことから、その制度改革も上記の5つの一連の改革として行われた。この5つの改革を含む「世紀転換期非営利法人制度改革」は、日本の非営利法人制度を、つまり日本の市民社会セクターの法的骨格を、
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