【非営利組織のファンドレイジング戦略】第10回 ファンドレイジング戦略の基礎
2018年03月02日
堀田和宏
(ほった・かずひろ 近畿大学名誉教授)
(ほった・かずひろ 近畿大学名誉教授)
今回から、いよいよ本連載の核心である「寄附を対象にしたファンドレイジング戦略」に入る。一般に「戦略は組織がつくる」とする考え方もあるが、筆者は「外部環境が戦略をつくる」とする立場から、これまで、長々と寄附行動と寄附金をめぐる外部情況を述べてきた。それによると、災害義捐金のような一時的な寄附は別として、寄附市場はきわめて「狭い脆弱な市場」であると同時に「不確実で浮動する市場」であることを窺い知ることができる。
わが国もアメリカのように多額の寄附が集まる「寄附文化」に倣えというような、真実を弁(わきま)えないで唱える向きもあるが、実は、非営利セクターや社会経済の発達した先進諸国でも、非営利組織の資金源のなかで寄附金が占める割合はそれほど大きくない。アメリカはその特有の文化から寄附が多い
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