Vol. 14 主たる事務所と従たる事務所について
※ これまでの内閣府メールマガジンの内容を再構成したものとなります。
公益法人は、主たる事務所のほか、必要に応じて従たる事務所を置く場合があります。今回は、主たる事務所と従たる事務所との法令上の相違点等について御説明します。
公益法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとされており(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号。以下「一般法人法」という。)第 4 条)、主たる事務所の所在地は定款に必ず記載しなければならない事項とされています(一般法人法第11条第 1 項 第 3 号、第153条第 1 項第 3 号)。また、主たる事務所の所在場所は登記事項とされています(一 般法人法第301条第 2 項第 3 号、第302条第第 2 項 第 3 号)。「所在地」と「所在場所」とでは、その意味するところが異なり、定款では最小行政区画である市町村(東京都の特別区を含み、政令指定都市にあっては市)まで記載すれば足りますが、登記は何丁目何番地までする必要があります(建物の名称や部屋番号まで登記するかどうかは、法人の任意です。)。
法人によっては、従たる事務所を置いている場合があります。従たる事務所の所在地は、定款に必ず記載しなければならない事項とされていませんが、従たる事務所を置いた場合には、その所在場所を登記する必要があります(一般法人法第 301条第 2 項第 3 号、第302条第第 2 項第 3 号)。将来的に従たる事務所を置くことを見据えて、又は実際に従たる事務所を置いている場合に、「理事会の決議により従たる事務所を置くことが できる」旨の定款の定めを設けることがあります。このような定めは、従たる事務所の有無に左右されないものであるといえますので、実務的には有用であると考えられます。他方で、例えば、A市に従たる事務所を置いている場合に、「A市に従たる事務所を置く」旨の定款の定めを設けることは問題ありませんが、当該従たる事務所を廃止又はA市以外に移転した場合には、定款の変更が必要となりますので、注意が必要です。
主たる事務所と従たる事務所とでは、備置書類やその期間に違いがあるものがあります。例えば、社員総会(評議員会)の議事録については、主たる事務所には10年間、従たる事務所にはその写しを 5 年間備え置く必要があります(一般法人法第57条第 2 項及び第 3 項、第193条第 2 項及び 第 3 項)。他方で、理事会の議事録については、主たる事務所に10年間備え置く必要がありますが、従たる事務所に備え置く義務はありません (一般法人法第97条第 1 項、第197条)。従たる事務所を置いている場合や今後置くことを予定している場合は、備置書類やその期間について、十分に確認することが必要です。
文責●内閣府公益認定等委員会事務局
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