遺贈寄付の現状とリスク
―実践的対応策―

清塚 樹
(きよづか・たつき 税理士)
 

Ⅰ はじめに

 遺贈寄付に関する意識調査によれば、高齢化や家族関係の変化により遺贈寄付への関心が高まっているものの、「寄付したお金がどのように使われるか不明瞭」、「やり方が分からない」などの理由が障壁になっています。一方で、寄付先として公益法人を検討している人が多いことと、国が公益法人に対する遺贈寄付を推進していく方針であることから、今後、公益法人に対する遺贈寄付があらたな社会貢献の方法として期待されています。公益法人にとっては、遺贈寄付があらたな資金調達の方法になり得る一方で、リスク管理が重要になっていきます。本稿では、公益法人が遺贈寄付に取り組むべき社会的な背景、法務・税務的なリスクについて解説を行い、遺贈寄付をより一層持続可能な社会貢献の方法として根付かせていくために法人側に求められる姿勢について考えていきます。 

Ⅱ 遺贈寄付の現状と背景

1 社会の意識変化と国の政策的後押し

 日本社会は急速な高齢化と核家族化に直面しており、親族関係が希薄になりつつあります。このような背景の中、遺言によって財産をNPO法人や公益法人に寄付する遺贈寄付が注目されています。
 かつては家族や親族に財産を残すことが一般的でしたが、子や孫が高齢化する「老老相続」や、親族との関係が疎遠なケースが増え、「自分の財産を社会や次世代のために役立てたい」という思いが広がっています。メディアでも取り上げられる機会が多くなったことも関心を高める一因となっています。
 また国の政策的な後押しも見逃せず、令和6年9月13日に閣議決定された「高齢社会対策大綱」では、遺贈寄付の推進が明記され、公益的な活動を行う法人等を通じて、社会貢献に寄与することが期待されています。&

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