公益法人における中期経営計画の策定
―実現可能で、理念を活かす計画とは―

永島徳大
(ながしま・とくひろ 公認会計士・税理士)
  Summary 株式会社では、 「企業全体でより稼ぐこと」が求められているのに対し、公益法人は、(中期的に)赤字となる事業と、稼ぐ事業を併存させるという、数値としてはベクトルが逆の事業を経営することが求められる。公益法人の経営において、赤字は必要最低限に、稼ぐ事業も制度上認められた範囲で運営するような、「財務計画の確度」 が重要である。その実効性を担保するための「中期事業計画」について本稿で解説する。なお、移行法人(公益目的支出計画を実施中の法人)においても、公益目的支出計画やその他整備法に関する制約があるなかで、中期事業計画をどのように考えるのか、ぜひご参考いただきたい。  

Ⅰ 公益法人の特性

 法人における経営では、社会におけるその法人の存在意義を理解し、それを実現できるビジョンを示し、事業を推進していくことが求められる。つまり、その法人の特性を理解したうえで、現在の社会環境(外部、内部)に応じて戦略の見直しを行い、事業を運営していくことが必要である。
 このように言葉で述べることは簡単であるが、公益法人では通常の株式会社のような営利法人とは違い、制度による経営の困難さが伴う。
 公益法人制度は非営利法人(剰余金の分配を目的としない法人)である一般法人を前提とした制度であることを理解する必要がある。なお、移行法人の多くも、この非営利法人のまま継続していることが多い。〈公益法人において必要な理解例〉●法人特性の理解
・非営利性の意味
・( 公益法人の場合)財務規律・その他認定法に関する事項●社会環境(外部・内部)の理解
・職員との関係
・顧客・会員等との関係
・関係団体との関係
・専門家の関与やその知識・助言の内容
・行政庁の規

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