利害関係人がいる評議員会、定足数と決議要件はどうなる?
(わしざわ・かつえ 全国公益法人協会 相談室職員/公認会計士)
利害関係人がいる評議員会、定足数と決議要件はどうなる?
当一般財団法人の評議員は5 人です。今度の評議員会で定款変更を議題にする予定ですが、当日は1名が欠席予定で、4 人が出席する見込みです。もっとも、そのうち1 人はこの議案について特別の利害関係を有するとされ、議決に加わることができない可能性があります。この評議員を特別の利害関係人として扱う前提とすると、評議員会は成立するのでしょうか。また、成立する場合、定款変更の決議を行うためには何人の賛成があればよいのでしょうか。
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議決に加われる人数が基準! 定款変更には3 分の2 以上の賛成を
この定款変更議案との関係では、議決に加わることができる評議員は、特別の利害関係を有する1人を除いた4人です。定足数はその過半数の3 名であり、当日3 名が出席すれば評議員会は成立します。また、定款変更の可決には、議決に加わることができる評議員4 名の3分の2以上に当たる「3名以上」の賛成が必要です。つまり、当日の決議に参加できる3名全員の賛成が必要となります。
なお、法定要件だけでなく、定款にさらに厳しい定めがないか招集前に必ず確認しましょう。
成立要件と「議決に加われる評議員」の数え方
評議員会では、まず会議を成立させるための定足数があり、そのうえで、議案を成立させるための決議要件があります。したがって、必要人数が集まって会議を開くことができたとしても、それだけで議案が成立するとは限りません。可決に必要な賛成数に達しなければ、その議案は否決されます。
法人法189条1項により、普通決議では、原則として、議決に加わることができる評議員の過半数が出席し、その出席した評議員の過半数の賛成によって決議が成立します。ここで基準になるのは評議員総数ではなく、その議案について「議決に加わることができる評議員」の数です。したがって、特別の利害関係を有する評議員がいる場合には、その評議員を除いて人数を数えることになります。本事例では、特別の利害関係人1名を除いた4名が計算の基礎となります。
定款変更の可決に必要な「特別決議」の要件
法人法189条2 項3号により、定款変更は重要事項であるため、普通決議よりも重い要件(特別決議)が課されており、議決に加わることができる評議員の3 分の2以上の賛成による決議が必要とされています。この特別決議の基準は「出席者数」ではなく、あくまで「議決に加わることができる評議員全体の数」である点に注意が必要です。本事例では、4名の3分の2以上、すなわち3 名以上の賛成が不可欠です。
特別の利害関係人の確認は招集前に行う
特別の利害関係の有無は、原則として招集前に整理しておきたい事項です。もっとも、当日になって判明することもあるため、その場合には、その時点で議決に加わることができる評議員の数や、必要な賛成数を改めて確認する必要があります。契約の承認、特定の相手方との取引、親族関係や兼職関係が影響する議案などでは、特別の利害関係の有無が問題になることがあります。これを見落とすと、当日になって定足数や必要賛成数の計算が変わるおそれがあります。
定款の確認と招集前に整理すべきこと
以上は法律上の原則ですが、実務では自法人の定款の定めまで確認することが不可欠です。法人によっては、法律よりも厳しい出席要件や賛成要件を定款で定めていることがあるからです。法律上は問題がないと思って進めた手続が、実際には定款違反となる可能性もあります。評議員会の招集前には、次の3 点を整理しておくことが重要です。そうすることで、会議当日の混乱を防ぐことができます。
招集前に確認したい3 つの視点
最低限押さえておきたい実務対応として次のものがあります。
「事前整理」が鍵となる
本事例では、特別の利害関係を有する評議員1人を除いた4人が、当該議案について議決に加わることができる評議員となります。そのため、評議員会を開くためには3人以上の出席が必要であり、ご質問の事例ではこの要件を満たします。また、定款変更を可決するためには、その4人の3分の2以上に当たる3 人以上の賛成が必要となります。
評議員会の成立要件や必要賛成数は、会議当日にその場で判断するのではなく、招集前に整理しておくことが重要です。
国税専門官としての実地調査、監査法人での財務諸表監査、地方自治体の包括外部監査に従事した経験を活かし、相談室の事務局業務及び相談対応を担当。日本公認会計士協会では、非営利法人委員会公益法人専門部会専門委員、公会計委員会公会計制度専門部会専門委員等を歴任。
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