決算理事会と定時評議員会、開催するだけで大丈夫?
(わしざわ・かつえ 全国公益法人協会 相談室職員/公認会計士)
決算理事会と定時評議員会、開催するだけで大丈夫?
当法人は公益財団法人です。6月に決算理事会と定時評議員会を開催し、決算関係書類の承認も終えました。もっとも、日程調整が難しく、両会議の日程はかなり接近していました。また、招集通知の発送にも余裕がなく、計算書類等の提供や備置き、貸借対照表の公告まで十分に確認できていない状況です。この場合、どの点を見直す必要があるでしょうか。
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日程の逆算と「備置き・公告」までがセットです!
見直すべき点は複数あります。決算理事会と定時評議員会の間隔、評議員会招集通知の発送時期、理事会承認後の計算書類等の提供・備置き、そして貸借対照表の公告は、別個の確認事項です。定時評議員会で決算に関する手続を終えたとしても、それだけで一連の決算実務が完了したとはいえません。
「理事会」「評議員会」を開いただけでは足りない
決算関係実務では、まず代表理事が事業報告及び決算関係書類を作成し、監事の監査を受け、必要に応じて会計監査人の監査を受けた上で、理事会の承認を受けます。その上で、定時評議員会に報告又は承認の対象となる書類や事項について、必要な手続を進めることになります。したがって、決算理事会と定時評議員会は、単に「どちらも6月中に終わればよい」というものではありません。
理事会での承認を前提として、その後の評議員会招集や書類提供の手続を逆算して進める必要があります。実務上は「評議員会で承認を得たので決算手続は完了した」と理解されがちですが、実際には招集通知、書類の提供・備置き、公告まで含めて一連の手続が完結する点に留意が必要です。
日程の近接は軽視できない
実務では、決算理事会と定時評議員会の日程が近接しすぎると、招集通知の期間や書類の備置き期間に無理が生じがちです。会議自体を開催できたとしても、前提となる手続が不足していれば、手続の適否を後から確認しなければならなくなります。評議員会の日から逆算して、招集通知の発送日や備置き開始日を確定し、その前提として決算理事会の日程を設定することが重要です。実務上は、①評議員会の開催日を確定する、②招集通知の発送期限や備置き開始日を逆算する、③それらを満たすように決算理事会の日程を設定する、という順序で検討すると整理しやすくなります。
招集通知は「必要期間の確保」が重要
日程が詰まりすぎると、招集通知は出したものの、定款や法令上必要な期間を満たしていないという事態になりかねません。特に、決算理事会や定時評議員会を年度内に収めようと急ぐあまり、発送日と開催日との間隔が不足することがあります。開催の可否だけでなく、適法な手続として成立しているかという観点から、発送日と開催日との関係を確認しておくことが重要です。
例えば、6月25日に定時評議員会を予定しているにもかかわらず、6月20日に決算理事会を開き、その直後に招集通知を発送するような場合には、必要な招集通知期間や備置き期間を確保できないおそれがあります。
書類提供・備置きは「承認後」が前提
実務上は、決算理事会が終わったことで安心してしまい、その後の書類提供や備置きが曖昧になることもあります。しかし、定時評議員会に向けて提供・備置きする計算書類等は、理事会で承認を受けたものが前提となります。評議員に対する提供や、事務所での閲覧に備えるための備置きが適切に行われていたかを、会議終了後であっても確認しておく必要があります。
承認後も「備置きと公告」が残る
決算関係の実務は、評議員会で承認又は報告を終えれば完了というわけではありません。監査報告、役員等名簿、報酬等の支給基準を記載した書類など、備置きの対象となる書類は少なくありません。また、貸借対照表の公告も忘れやすい実務です。決算後の対応として、備置きと公告まで確実に終えているかを確認しておく必要があります。会議終了後であっても、決算後の実務が一通り終わっているかを点検しておくことが大切です。
7月の段階で確認したい4つの視点
- 決算理事会と定時評議員会の間隔に無理はなかったか。
- 招集通知の発送時期は必要期間を満たしていたか。
- 計算書類等は理事会承認後のものを適切に提供・備置きしていたか。
- 貸借対照表の公告まで完了しているか。
決算理事会や定時評議員会は、開催すれば足りるものではありません。開催日程の組み方、招集通知、理事会承認後の計算書類等の提供・備置き、
そして貸借対照表の公告まで含めて、一連の実務として捉える必要があります。
国税専門官としての実地調査、監査法人での財務諸表監査、地方自治体の包括外部監査に従事した経験を活かし、相談室の事務局業務及び相談対応を担当。日本公認会計士協会では、非営利法人委員会公益法人専門部会専門委員、公会計委員会公会計制度専門部会専門委員等を歴任。
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