スポーツ系公益法人のガバナンスについて考える―スポーツ組織の不祥事問題の原因とは―

張 寿山
(ちょう・じゅざん 明治大学リベラルアーツ研究所研究員)
釜崎 太
(かまさき・ふとし 明治大学准教授)

はじめに

 スポーツ組織の不祥事報道が止まない。2011年のスポーツ法学会は「スポーツ団体の自立・自律とガバナンスをめぐる法的諸問題」をテーマに大相撲協会や高野連等の不祥事を採り上げ、2014年の第283回公益認定等委員会では後藤田内閣府副大臣が不祥事の多発を近年の傾向として憂い、2018年に入ってからも8 月までで既に50件以上の不祥事がメディアで採り上げられている。その主な内容は八百長を含む金銭トラブルと、競技団体を中心としたスポーツ組織とアスリートとの間のトラブルである。
 しかし、スポーツ組織での不祥事が実際に多発しているかどうかは、非スポーツ系組織との比較が必要なはずだが、寡聞にしてそのような比較調査はみつからない。そもそも「スポーツ

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