【景気のゆくえ】輸出底入れと新型肺炎

門多 治
(エコノミスト)

 2019年12月の貿易統計速報が公表され、同年年間の輸出額(円建)は前年の4.1%増から5.6%減と3年ぶりに減少した。米中通商交渉に第1段階の合意があったものの、新型肺炎という不安要因がでてきた。今回は、輸出の現状と先行きを概観する。
 12月速報で数量ベースの地域別輸出の動きをみると、米国・EU向け輸出は引き続き減少を続けたものの、過半を占める中国・アジア向けはそれぞれ前年比5.7%、0.5%増と、2018年年初以降の減少トレンドから転じてプラスとなった。中国向けでは、半導体等の情報関連財や、自動車部品、さらには設備投資向けのコンベヤ等の資本財の増加がみられた。米中間の関税合戦の第1段階の合意を受けて中国製造業の景況感も改善し、日本のロボット・電子部品メーカーの受注にも底入れ感が
                           

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