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珍しい林業コメディ

　以前、本連載の素材とした「大誘拐」（天童真、2000年、創元推理文庫）では、主要な舞台が山林、主人公は山林のオーナーであり、その山林への想いが騒動の契機となっていましたが、林業やその従事者が採り上げられたフィクションの作品は多くはないようです（上松調べ）。
　ただ、その数少ない作品のなかに「WOOD（ウッ）JOB（ジョブ）！ 〜神去（かむさり）なあなあ日常〜」（2014年、監督：矢口史靖、原作：三浦しをん『神去なあなあ日常』〔2012年、徳間文庫〕）なる傑作があります。話の大まかな筋は、大学受験に失敗した都会育ちの主人公・平野勇気がチラシを手にしたことをきっかけに1 年間の林業研修に臨み、仕事をそれなりに覚え、居候先の家族、職場の親方や先輩たち、村の老若男