公益法人の財務の健全性を査定する分析指標
2018年12月20日
宮本幸平
(みやもと・こうへい 神戸学院大学教授/京都府公益認定等審議会委員)
(みやもと・こうへい 神戸学院大学教授/京都府公益認定等審議会委員)
- CATEGORY
- 会計実務・財務・分析
- 対 象
- 公益法人
目 次
- Ⅰ 本稿の目的
- Ⅱ 公益法人会計の「基本目的」
- 1 非営利組織の「財務的生存力」の査定
- 2 非営利組織の「業績」の査定
- Ⅲ 公益法人会計の表示基準
- 1 「貸借対照表」の表示基準
- 2 「正味財産増減計算書」の表示基準
- Ⅳ 企業の財務分析の観点と財務分析指標
- Ⅴ 公益法人会計の「基本目的」を達成する財務分析指標
- 1 「取引収益性」の観点から導出される分析指標
- 2 「資本収益性」の観点から導出される分析指標
- 3 「安全性(ストック)」の観点から導出される分析指標
- 4 「安全性(フロー)」の観点から導出される分析指標
- 5 「活動性」の観点から導出される分析指標
- 6 「生産性」の観点から導出される分析指標
- 7 「成長性」の観点から導出される分析指標
- Ⅵ まとめとして
Ⅰ 本稿の目的
本稿は、公益法人の財務の健全性を査定するため、財務諸表分析において、どのような財務分析指標を措定すべきであるかが考察される。企業会計では、周知のとおり、投資もしくは融資の意思決定のために財務分析の指標が措定されており、経済社会で長きにわたって利用されている。具体的にいえば、貸借対照表と損益計算書に表示された項目間の関連を比率等により分析することで、当該主体の財務実態を把握するものである。
そして公益法人においては、近年の当該法人に対する社会要請の高まりから、多くの資金が必要とされている。そこで、出資者による寄付金や補助金の支出の意思決定を支援するために、現代社会は、公益法人の財務分析指標の設定を強く求めている。そ
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