【非営利組織のファンドレイジング戦略】第21回 会社の寄附(その1)
2018年12月20日
堀田和宏
(近畿大学名誉教授)
(近畿大学名誉教授)
はじめに
会社による寄附は、右寄りの立場からは、そもそも会社はその所有者の権利である利益を棄てるのが仕事ではあるまいと責められ、左寄りの立場からは、会社のあり方や行動に反対する人たちを懐柔する戦略でしかないと批判される。中間の立場からでも、会社による寄附は財団や個人よりも利己心で動機付けられているとして、それを「会社フィランソロピー」と呼ぶこと自体が不適切であり、それは矛盾語法ではないかと疑念を持たれる。実は、会社による寄附は微妙な解釈を伴う悩ましい性質を帯びているのである。ただ、明言できることは、今日の会社による寄附のあり様を観れば、会社による寄附は財団や個人と同じように利己利益と利他主義とを同時に併せ持っているこ
この記事は有料会員限定です。