【景気のゆくえ】回復に足踏みがみられる民間設備

林田元就
(はやしだ・もとなり 電力中央研究所上席研究員)

 民間企業の設備投資(民間設備)は総需要を増加させ、景気の駆動力となるだけでなく、その蓄積は中長期の潜在成長力を規定するため、短期の景気動向だけでなく、中期的な経済成長をも占う重要な経済指標である。
 図は民間設備の関連指標の推移をみたものである。実質民間設備(GDP統計 2次速報値)は、2019年10月の消費税率の引上後に減少に転じ、新型コロナウイルスの感染拡大により減少幅を拡大させた。減少幅は19年7~9月の92.6兆円(季調済み年率換算)から20年7~9月の82.3兆円へ1年で11%落ち込んだ。ただし、リーマン・ショック時の2年で18%の落ち込みに比べると、その規模は6割程度に止まった。その後、回復に転じたが、21年1~3月は前期比1.2%減と感染再拡大と緊急事態宣言の再発出によ

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