「公」と「私」の間の非営利法人会計制度

吉見 宏
(よしみ・ひろし 北海道大学理事・副学長)  非営利法人は「公(官)」なのか、それとも「私(民)」なのか。
 これに対する 1 つの答えは、その中間にあるというものだろう。非営利法人の多くは、その出自は「私」である。たとえば、民法に基づいて設立される公益法人はその典型である。
 一方で、利益の稼得を組織目的としない非営利法人は、公的な役割を担う。官がなすべき、あるいはなさねばならない仕事を、民間の法人が行っているともいえる。
 営利か非営利かは、会計計算、すなわち簿記の面からは明らかに区分される。複式簿記は利益計算が可能なシステムであり、中世イタリア商人の必要から生まれた。したがって、仮に組織の目的が利益の稼得でなかろうとも、利益を計算する必要のある事業(収益事業)を
                           

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