「特別の利益供与の禁止」の考え方と留意点(後編)
―公益認定取消事例と国税不服審判所裁決―
2023年04月24日

大野憲太郎
(おおの・けんたろう 弁護士)
(おおの・けんたろう 弁護士)
前号に掲載した前編では、「特別の利益供与の禁止」についての考え方に関し、一般法人のうち非営利型法人、公益法人だけでなく、NPO法人、医療法人、学校法人、社会福祉法人を含めた非営利法人法制を概観して分析した上で、公益法人・移行法人における「特別の利益供与の禁止」の位置づけを確認し、「特別の利益供与の禁止」への抵触を理由の一つとして公益認定が取り消された事例を分析した。
後編では、非営利型法人における「特別の利益供与の禁止」の位置づけを確認した上で、「特別の利益供与の禁止」への抵触を理由に非営利型法人ではなく普通法人であると判断した国税不服審判所裁決を分析し(Ⅳ)、「特別の利益供与の禁止」に関する法人運営上の留意点として、特定医療法人の自己チェックシートが活用できることを解説し、「特別の利益供与」の判断が「社会通念」によることの困難性について触れる(Ⅴ)。
Ⅳ 非営利型法人における「特別の利益供与の禁止」
1 非営利型法人における「特別の利益供与の禁止」の位置づけ
非営利型法人では、要件の一つとして、特別の利益供与の禁止が定められている。非営利型法人は、公益法人における公益認定と異なり、承認等の行政処分を必要としないため、非営利型法人に該当するか否かについて、設立時等には行政庁の判断がなされるものではない。非営利型法人に該当するか否かの判断がなされるのは、一般法人が、非営利型法人に該当するとの判断を前提に収益事業から生じた所得についてのみ法人税等の確定申告を行ったとき等である。所轄する税務署長は、当該法人が普通法人に該当すると判断した場合は、更正することになる(国税通則法24条)。注意しなければならないのは、非営利型法人における特別の利益供与の禁止の不可逆性である。
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