Vol.3 特定費用準備資金の活用について

内閣府公益認定等委員会 事務局だよりPLUS+

※ これまでの内閣府メールマガジンの内容を再構築したものとなります。

 

特定費用準備資金の概要
 特定費用準備資金とは、将来の特定の活動の実施のために特別に支出する費用(事業費・管理費に計上されるもので、引当金の対象となるものは除く。)に充てるために保有する資金をいいます(認定規則第18条)。
 新規事業の開始、既存事業の拡大、数年周期で開催するイベントや記念事業等の費用が特定費用準備資金の対象となります。特定費用準備資金の積立てに当たっては、一定の要件を満たす必要があります。
 特定費用準備資金は、収支相償・公益目的事業比率の計算において、その「積立て」は費用として、「取崩し」は収入又は費用のマイナスとして算入されます。また、その残高は遊休財産額には含まれません。
 公益法人においては、公益認定後もいわゆる財務三基準、すなわち、収支相償、公益目的事業比率及び遊休財産の保有制限を満たす必要がありますが、特定費用準備資金を活用することにより、これらの基準を満たしつつ、法人運営を柔軟に行うことが可能になります。

 

特定費用準備資金の積立要件
 特定費用準備資金は、次の①~⑤に掲げる要件をすべて満たすものでなければなりません(認定規則第18条第3項、公益認定等ガイドラインⅠ-7⑸)。

① 当該資金の目的である活動を行うことが見込まれること
⇒ 活動の内容及び時期が費用として擬制できる程度に具体的であることを要します。
② 他の資金と明確に区分して管理されていること

⇒ 貸借対照表及び財産目録に、適切な名称を付し、特定資産の区分に計上する必要があります(公益法人会計基準注解(注4)3 参照)。
③ 資金の目的である支出に充てる場合を除くほか、取り崩すことができないものであること又は目的外で取り崩す場合に理事会決議等の特別な手続きが定められていること

⇒ 目的変更もあり得ますが、止むを得ざる理由に基づくことなく複数回、計画を変更され、実質的に同一資金が残存し続けるような場合は、「正当な理由がないのに当該資金の目的である活動を行わない」と判断され、資金は取崩しとなります。
④ 積立限度額が合理的に定められていること
⑤ 目的外の取崩手続き及び積立限度額とその算定根拠等について、備え置き及び閲覧等の措置が講じられていること

 

特定費用準備資金の留意事項
 留意事項についてQ&A形式で説明します。

 

Q 特定費用準備資金が限度額を上回った場合、目的の活動を実施しないこととなった場合は、どうするのでしょうか。

A 特定費用準備資金が限度額を上回った場合、正当な理由がないのに目的の活動を行わない場合には、取り崩さなければなりません。

Q 予備費等、将来の一般的な備えや資金繰りのために保有している資金は、特定費用準備資金の対象となるのでしょうか。

A 予備費等の資金は、特定費用準備資金の要件を満足していないため、特定費用準備資金の対象とはなりませんが、将来の収支変動(収入減少・費用増加)に備えた基金については、過去の実績や事業環境の見通しを踏まえて、活動見込みや限度額の見積もりが可能な場合に限り特定費用準備資金の対象となります(FAQⅤ-3-④)。

Q 法人が、地震、火災等災害時に備えて積み立てる資金は、特定費用準備資金の対象となるのでしょうか。

A 災害が生じ、自らが被災した場合に備えた基金は特定費用準備資金の対象となりませんが、災害救援等を事業として行うとして定款に位置付けている法人において、災害等発生時の緊急支援のための備えを過去の実績等から合理的に見積もれる場合に限り特定費用準備資金の対象となります(FAQⅤ-3-⑤)。

Q 既存の事業以外の事業は、特定費用準備資金の対象となるのでしょうか。

A 特定費用準備資金の対象は、公益認定申請書に記載された事業の範囲内であることが要件となるため、既存の事業範囲を超える場合は、変更認定申請が必要となります。

 特定費用準備資金の積立例などを御紹介した広報資料「特費のすすめ」も公表していますので、公益法人information令和4年6月14日付「内閣府からのお知らせ」からご覧ください。


文責●内閣府公益認定等委員会事務局

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