Vol.4 役員等の選任について
※ これまでの内閣府メールマガジンの内容を再構築したものとなります。
多くの公益法人は、事業年度が4月1日から翌年の3月31日まで(3月決算)であるため、5月から6月までは、定時社員総会又は定時評議員会の開催時期だったのではないでしょうか。また、役員等(理事、監事及び評議員をいいます。以下同じ。)の改選が行われた法人も多かったのではないでしょうか。
今回は、役員等の選任方法について、主な流れを説明いたします。
⑴ 任期の確認
最初に、現在の役員等の任期がいつまでなのかについて確認しましょう。
理事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会又は定時評議員会の終結の時までです(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号。以下「法人法」といいます。)第66条、第177条。短縮することも可)。また、監事の任期は選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会又は定時評議員会の終結の時まで(法人法第67条第1項、第177条。「4年以内」を2年以内に短縮することも可)、評議員の任期は選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで(法人法第174条第1項。「4年以内」を6年以内に伸長することも可)とされており、年数が異なることを除き、任期の考え方は同じです。
なお、定款で役員等の任期を短縮又は伸長している可能性がありますので、必ず定款で任期を御確認ください。
⑵ 役員等の選任
任期満了を迎える役員等がいる場合は、理事及び監事については、定時社員総会又は定時評議員会でその選任決議が必要になります(法人法第63条第1項、第177条)。また、評議員については、その選任及び解任の方法が定款の記載事項とされていますので(法人法第153条第1項第8号)、定款で定めた方法(一般的には、評議員選定委員会や評議員会による選任等)によって選任することになります。
法人と役員等との関係は、委任に関する規定に従うとされており(法人法第64条、第172条第1項)、法人と役員等の間には委任契約があると考えられていますので、役員等の選任の効果を発生させるためには、定時社員総会等で選任決議をした上で、選任された役員等が就任を承諾することが必要です。
なお、就任承諾が決議日の後日となる場合は、役員等の就任日は就任承諾をした日となりますので、就任承諾が後日になる場合は注意が必要です。
それから、役員等の資格について、法人法上の欠格事由に該当する者(法人法第65条第1項、第173条第1項)を選任することはできませんし、公益法人においては、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号。以下「認定法」といいます。)上の欠格事由に該当する者(認定法第6条第1号)を選任することもできません。また、公益法人は、いわゆる3分の1ルール(認定法第5条第10号、第11号)に抵触していないかについても選任時に御確認ください。
⑶ 登記の申請
役員等の就任による変更の登記の申請書には、就任承諾書を添付する必要があります(法人法第320条第1項及び第2項)。また、新たに就任する代表理事は個人の印鑑証明書の添付が必要となるほか、新たに就任する役員等は本人確認証明書(住民票、運転免許証のコピー等)が必要になります(法人法第330条において準用する商業登記法(昭和38年法律第125号)第148条、一般社団法人等登記規則(平成20年法務省令第48号)第3条、商業登記規則(昭和39年法務省令第23号)第61条第5項及び第7項)。任期途中で辞任した役員等については辞任届が必要になりますが(法人法第320条第5項)、任期満了で退任する役員等については辞任届の添付書類は不要です。登記の申請に必要となる添付書類等の詳細については、必要に応じて法務局等に御確認ください。
なお、法人法では、役員等に変更が生じたときは2週間以内に変更の登記をしなければならないとされています(法人法第303条)。選任された役員等が全員再任でメンバー構成が変わらない場合であっても、必ず役員等の変更の登記が必要になりますので、御注意ください。
⑷ 行政庁への変更届出
公益法人の役員等に変更があった場合には、遅滞なく、その旨を行政庁へ届け出る必要があります(認定法第13条第1項第4号)。
役員等の選任手続については、必要な各種書類を収集するのにも時間がかかりますので、早めの対応を心掛けるようにいたしましょう。
文責●内閣府公益認定等委員会事務局
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