公益・一般法人の運営上の留意点 第1回
公益認定の取消しと財産処理の手続

大野憲太郎
(おおの・けんたろう 弁護士)

Ⅰ はじめに

公益認定を受けるには、認定法 5 条に定める公益認定の基準を満たす必要があり、公益認定の基準に適合しなくなれば、公益認定を取り消される可能性がある(認定法29条 2 項 1 号)(注 1 )。では、公益認定が取り消されるリスクはどの程度避けるべきなのだろうか。
また、公益法人は、一般法人と異なり、内閣府又は都道府県知事の監督を受け、定期提出書類の提出や(認定法22条 1 項)、約 3 年に 1 度実施される立入検査などの負担もあることから(注 2 )、公益認定の返上を検討したい公益法人もあるかもしれない。
 
これらの検討にあたっては、公益認定が取り消されたらどうなるか、自主返上するとどうなるかについての理解が不可欠である。
以下では、公益認定の自主返上を例に、公益認定が取り消されたらどうなるかについて解説する。

Ⅱ 公益認定の自主返上

【事例】
 公益財団法人Aは、10年前に公益認定を受けたが、近年寄附も減少していたことに加え、今般担当者が退職したことを受け、公益認定を返上し、事務作業の軽減を図るとともに、事業内容の転換も検討したいと考えている。公益認定の返上は可能か。可能な場合、どのような負担があるか。公益法人が自主的に公益認定の取消しを申請することは可能である(認定法29条 1 項 4号)。
ただし、公益認定が取り消されると、公益認定の取消しの日から 1 か月以内に、公益目的取得財産残額に相当する額の財産を、定款の定めに従って、類似の事業を目的とする他の公益法人や国、地方公共団体等に贈与する必要がある(認定法 5 条17号、30条 1 項参照)。また、公益認定が取り消された旨公示される(認定法29条 4

この記事はシェアコモン200利用法人限定です。

※ライトプランの方は一部記事のみお読みいただけます。

利用法人の方は、下記からログインしてください。
シェアコモン200のサービスについて、詳しく知りたい・登録したい方はお問合せください。

ログイン

無料登録いただくと、公益・一般法人に関する無料登録の方限定記事や
各月の作業内容をつかめる実務カレンダーがお読みいただけます。

  1. 公益法人・一般法人に特化した専門書籍を10%オフで購入できます!
  2. 最新の法改正に関するセミナーなどの情報を受け取れます!
  3. よくある相談と専門家の回答をメールにてお届けします!
無料登録はこちら

月刊公益オンラインとは

財団法人・社団法人に特化した支援プログラム"シェアコモン200"の利用法人様向け実務専門誌『月刊公益』の記事を中心に、公益・一般法人に関するニュースや専門家による解説などをお届けする情報配信プラットフォームです。

詳しくはこちら
専門誌

無料登録のご案内

「月刊公益オンライン」に無料登録すると、登録の方限定の記事をご覧いただけるなど、実務に役立つさまざまな特典をご用意しております。

特典1

限定記事や
実務カレンダーが読めます!

「月刊公益オンライン」の無料登録の方限定記事や各月の事務局の作業内容がつかめる「実務カレンダー」をご覧いただけます。

特典2

最新の法改正に関する
セミナーなどの情報を受け取れます!

公益認定法改正など、最新の法改正とその対応に関するセミナーをはじめ、公益・一般法人の運営に必要な知識を深めることができる講習会の情報をお受け取りいただけます。

特典3

よくあるご相談内容をピックアップして
メールにてお届けいたします!

よくあるご相談内容に弁護士や税理士などの専門家が回答するQ&A集を、メールにてお受け取りいただけます。日々の業務のお困りごとや疑問解決にお役立てください。

特典4

公益法人・一般法人に特化した専門書籍を
10%オフで購入できます!

月刊公益オンラインを運営する公益法人協会では、社団・財団法人のための出版物を多数発行しております。無料登録いただいた方は、通常価格から10%割引でご購入いただけます。