Vol.7 公益増進のための吸収合併と手続上の要点
※ これまでの内閣府メールマガジンの内容を再構築したものとなります。
本稿の目的
新たな事業にチャレンジするため、財政基盤を強化し公益活動をより充実させるため、など様々な目的を実現するために、法人同士が合併を行うことは、民間公益増進のための重
要な手段の一つです。
本稿では、公益法人が別の公益法人を吸収する合併を取り上げ、基本的な考え方及び合併手続の大まかな流れを解説することを目的としています。
合併の契約
合併を計画する法人はまず合併契約を締結しなければなりません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号。以下「法人法」という。)第242条)。合併契約に規定すべき事項は、法人法第244条に規定されています。また、吸収合併契約の内容その他法務省令で定める事項を記載した書面等を、合併するそれぞれの法人で所定の日から一定期間備え置く必要があります(法人法第250条、第246条)。
公益法人の合併と公益認定の基準
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号。以下「認定法」という。)との関係では、合併後に存続する公益法人が合併後も引き続き公益認定の基準(認定法第5条各号)に適合していることを確保することが求められます。したがって、合併後存続する公益法人が、合併に伴い事業内容を変更する場合などには、合併の前に変更認定申請を行う必要があります(認定法第11条第1項)(どのような場合に変更の認定を受ける必要があるかについては、「内閣府公益認定等委員会事務局だよりPLUS+」
Vol.5(本誌2023.08.01 No. 1075号)等も御参照ください。)。変更認定申請が必要となる合併では、合併契約に「行政庁からの変更認定が得られたことを条件として」という形で停止条件を付しておくことも一つのポイントとなります。また、事業の変更がない場合でも、行政庁に合併の事実を知らせるため、事前に合併の届出を行う必要があります(認定法第24条第1項第1号)。
一方、吸収合併により消滅する法人では、事前に合併する旨を行政庁に届け出る必要があります(認定法第24条第1項第1号)。
承認等の手続
合併は法人にとって大きな意思決定となるため合併の効力発生日の前日までに、社員総会又は評議員会の決議により、吸収合併契約の承認を受ける必要があります(法人法第251
条、第247条)。
また、債権者が吸収合併について異議を述べることができるよう、公告等の手続を行う必要があります(法人法第252条、第248条)。
合併の登記・消滅法人に係る備置・閲覧等
合併の効力発生日から2週間以内に、合併により存続する法人は変更の登記を、消滅する法人は解散の登記を行う必要があります(法人法第306条)。
また、吸収により存続する法人では、消滅する法人から承継した権利義務等について記載した書面を作成し、備え置く必要があります(法人法第253条第1項、第2項)。
事業報告等の提出
吸収合併により存続した法人は、合併の日から3か月以内に、消滅した法人に係る事業報告等を行政庁に提出する必要があります(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関す
る法律施行規則(平成19年内閣府令第68号)第8条第4項、第41条第4項)。
おわりに
合併は、新設合併・吸収合併など合併の形式、対象法人が公益法人か一般法人か移行法人か、合併する法人の数など様々なパターンがあり、手続も異なる場合があります。法人が公益活動を円滑に行うことができるよう、行政庁では必要な案内を行っていますので、合併を計画されている場合には早めに行政庁にも御相談ください。
文責●内閣府公益認定等委員会事務局
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