不適切会計が発生したときの経理的対応
2024年12月14日

齋藤 健
(さいとう・つよし 公認会計士)
本稿は、不適切会計の内容や発生原因、発生後の対応方法等について解説していくこととする。
例えば、決算整理作業時の退職給付引当金の計算をする際に、対象者の期末時点の自己の都合による退職金を仮定する自己都合要支給額の見積計算を誤ってしまったケースを想定してみよう。当該計算誤りは、勤続年数、基本給等の基礎数値について、誤った情報に基づき見積り計算をしたことに起因していると考えられる。
そもそも、引当金の会計処理は、法人内部での見積りによって金
(さいとう・つよし 公認会計士)
- CATEGORY
- 会計実務
- 対象法人格
- 公益法人・一般法人
- 対象職位
- 管理職・職員
目 次
Ⅰ はじめに
公益法人の会計に限らず、広く会計処理は適切であるべきである。個々の会計処理は、最終的に財務諸表という形で、利害関係者に報告されることになるが、適切な会計処理があって、初めて適正な財務諸表が提供できるのである。さて、実務はどうだろうか。「不適切会計」という言葉がある。意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる誤り、又はこれを誤用したことによる誤りといわれ、意図的な会計操作のみならず、非意図的な会計処理の誤りも含めた広い概念として位置づけられている。公益法人・一般法人の資産の横領等、不適切会計につながるマスコミ報道も多い。本稿は、不適切会計の内容や発生原因、発生後の対応方法等について解説していくこととする。
Ⅱ 不適切会計の内容と発生原因
前述の通り、不適切会計には、非意図的な会計処理の誤りと意図的な会計操作がある【図表1】。まずは、前者の非意図的な会計処理の誤りから見ていきたい。 【図表1:不適切会計の例】1 非意図的な会計処理誤り
会計上は誤謬ごびゅうと表現されるが、ヒューマンエラーであるから、そのエラーを発見できない内部統制上の不備が原因といえる。例えば、決算整理作業時の退職給付引当金の計算をする際に、対象者の期末時点の自己の都合による退職金を仮定する自己都合要支給額の見積計算を誤ってしまったケースを想定してみよう。当該計算誤りは、勤続年数、基本給等の基礎数値について、誤った情報に基づき見積り計算をしたことに起因していると考えられる。
そもそも、引当金の会計処理は、法人内部での見積りによって金
月刊公益オンラインとは
財団法人・社団法人に特化した支援プログラム"シェアコモン200"の利用法人様向け実務専門誌『月刊公益』の記事を中心に、公益・一般法人に関するニュースや専門家による解説などをお届けする情報配信プラットフォームです。
詳しくはこちら
無料登録のご案内
「月刊公益オンライン」に無料登録すると、登録の方限定の記事をご覧いただけるなど、実務に役立つさまざまな特典をご用意しております。

限定記事や
実務カレンダーが読めます!
「月刊公益オンライン」の無料登録の方限定記事や各月の事務局の作業内容がつかめる「実務カレンダー」をご覧いただけます。

最新の法改正に関する
セミナーなどの情報を受け取れます!
公益認定法改正など、最新の法改正とその対応に関するセミナーをはじめ、公益・一般法人の運営に必要な知識を深めることができる講習会の情報をお受け取りいただけます。

よくあるご相談内容をピックアップして
メールにてお届けいたします!
よくあるご相談内容に弁護士や税理士などの専門家が回答するQ&A集を、メールにてお受け取りいただけます。日々の業務のお困りごとや疑問解決にお役立てください。

公益法人・一般法人に特化した専門書籍を
10%オフで購入できます!
月刊公益オンラインを運営する公益法人協会では、社団・財団法人のための出版物を多数発行しております。無料登録いただいた方は、通常価格から10%割引でご購入いただけます。