社団・財団法人の ための熱中症対策
―義務化により求められる対応―

小島信一
(こじま・しんいち 特定社会保険労務士)
 

Ⅰ 熱中症対策は義務の時代へ

 近年、気候変動の影響から夏期の気温は上昇の一途をたどり、職場における熱中症による労働災害は深刻な問題となっている。特に死亡災害は高い水準で推移しており、その多くが「初期症状の放置」と「対応の遅れ」に起因すると分析されている。
 こうした背景から、2025年6 月1 日、改正労働安全衛生規則が施行され、事業者の熱中症対策は新たな段階を迎える。これまで努力義務とされてきた対策の一部が「罰則付き」で法的に義務化され、すべての事業者に対応が求められることとなった。
 そこで本稿では、特定社会保険労務士の小島信一氏に、今回の法改正で何がどう変わるのか、そして社団・財団法人が多様な事業現場で取るべき具体的な熱中症対策について、その要点を伺った。
(聞き手・構成 編集部:岩見翔太) 

Ⅱ 対策の基本と法改正の核心

━━━まず、今回の法改正の全体像からお伺いします。なぜ今、事業者の熱中症対策が「罰則付き」で義務化されることになったのでしょうか。 小島 義務化には、職場での熱中症による死亡者数が3年連続で30人を超えるなど、高止まりしている現状が大きな背景にあるといえます。それに加え、休業4日以上の死傷災害数自体もこの10年で倍以上に増加しており、昨年(2024年)は1,195人(2025年5月30日確定値では、1,257人)に達しました。
 国連事務総長が「地球沸騰化の時代」と表現するように、気候そのものが大きく変動している中で、国として労働者の命を守るという強い意志の表れです。
 そして、死亡災害のケースを分析すると、その多くが「初期症状の放置」と「対応の遅れ」に原因があることがわかっています。だからこ

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