介護離職は「組織」で防ぐ
―「寄り添う職場」の作り方―

山本武尊
(やまもと・たける 社会保険労務士・社会福祉士・主任介護支援専門員)
 

Ⅰ はじめに

 「説明すればよい」「制度を置けばよい」という思い込みが、職場での孤立を深めてはいないでしょうか。2025年の育児・介護休業法の改正により、これまで見落とされがちだった“働きながら介護をしている人”への配慮が、組織に対して明確に求められるようになりました【図表1】。現在、約10万人が介護を理由に離職していますが、これは氷山の一角でしょう。
 職場における介護への対応は、福利厚生ではなく法人の労務管理の一環であり、職員の人生に関わる切実な問題です。特に人手不足が深刻で、労働者の高齢化が進む中小法人こそ介護離職のリスクは高く、対策は急務です。だからこそ、制度の整備だけでなく、職員の声に真摯に耳を傾ける姿勢が不可欠です。
 本稿では、制度だけに頼らない、組織としての本質的な支援について考えていきます。 【図表1:令和7年4月施行 改正の概要】出典: 厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 令和7(2025)年4月1日から段階的に施行」を基に編集部作成 

Ⅱ 所得税における扶養親族の範囲

1 突然やってくる介護と、相談をためらう心理

 介護は突然やってきます。ある日突然、親が倒れた、認知症と診断されたといったでき事が、職員の生活と意識を一変させます。特に中高年層の職員にとって親の介護は避けられない現実ですが、いざ直面すると、ほとんどの職員は「何から手をつければよいかわからない」という混乱と不安に陥ります。
 実際に、多くの職員は自らの状況を職場に打ち明けることをためらいます。「周囲に迷惑をかける」「評価が下がる」「異動や昇進に影響するのでは」といった懸念が相談を妨げ、一人で介護を抱え込み心身ともに疲

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