公益認定等ガイドライン改訂が問うもの
(おおうち・たかみ (一社)構想日本プロジェクトリーダー(公益法人担当))
公益認定等ガイドラインが令和8年7月10日に改訂された。公益信託制度への対応を軸に、資産活用、事業計画書・収支予算書、監督まで、実務の考え方と留意点が広く補われた。要点を4つに分けて整理し、底に流れる考え方を探ってみたい。
1つめは、公益信託との関わり方である。公益法人が受託者や信託管理人となる場合の事業の位置付け、変更認定・変更届出、会計と情報開示の扱いが示された。信託財産は固有財産と切り離して財務諸表には計上せず、事業計画書や事業報告に、信託の名称、認可行政庁、業務の概要を記す。法人と信託の財産と活動を明確に分け、受託者としての責任を全うすることが前提となる。
2つめは、資産活用の具体化である。運用面ではアセットオーナー・プリンシプルを参照し、目的、意思決定、体制、リスク管理、情報提供を点検することが有用とされた。ただし一律に求めるものではなく、資産規模に応じた対応が想定されている。寄附者の助言を踏まえて助成先を選ぶDAF(Donor Advised Fund)でも、選定の主体は法人であり、専門性と公正性の確保が欠かせない。運用益に加えて元本も取り崩す金融資産、出資事業における公益性、公正性、透明性と継続的な意義の確認も、輪郭が示された。
3つめは、計画と予算の位置付けである。事業計画書には中長期の方針や公益目的事業の質を高める取組を記すことが望ましいとされ、KPIやインパクト測定・マネジメントは義務ではなく、規模や事業に応じた選択肢とされた。収支予算書も単なる提出書類ではない。理事会が予算と実績の乖離を経営に活かし、ガバナンスを確保して説明責任を果たすための道具と位置付けられている。
4つめは、監督のあり方である。監督処分等を受けた法人が、自ら講じた措置を一定期間公表することが望ましいとされた。また、立入検査の手続も整理された。公表は制裁の上塗りではなく、立て直しの過程を社会に開く手続と読みたい。手続が明らかになれば、法人の側も身構えず、記録を整えて臨める。
通底するのは、使える手法を広げる一方で、その選択と結果を法人自身の言葉で語らせる姿勢だろう。資産運用、助成、出資、公益信託は、形式を整えるだけでは足りない。なぜその手法を選び、いかに公益を実現し、結果をどう検証したのか。目的と事業の実態に即して判断し、過程を記録して社会に示すことが求められる。
今回の改訂は、広がった裁量の先に、自律的なガバナンスと説明責任を運営の中心へ据える方向を示している。
2008年より公益認定等ガイドラインの公表に合わせて、公益法人制度改革を担当。様々な団体の公益法人への移行を支援。内閣府公益認定等委員会の委嘱を受け、新公益法人制度普及啓発員、新公益法人制度に係る相談員、公益法人等制度に係る相談員を歴任。『新訂版 公益法人一般法人の機関と運営【上巻・下巻】』、『公益法人・一般法人の定款及び規程・規則集―新訂版 公益法人・一般法人の機関と運営【別冊】―』を編著。
月刊公益オンラインとは
財団法人・社団法人に特化した支援プログラム"シェアコモン200"の利用法人様向け実務専門誌『月刊公益』の記事を中心に、公益・一般法人に関するニュースや専門家による解説などをお届けする情報配信プラットフォームです。
詳しくはこちら
無料登録のご案内
「月刊公益オンライン」に無料登録すると、登録の方限定の記事をご覧いただけるなど、実務に役立つさまざまな特典をご用意しております。
限定記事や
実務カレンダーが読めます!
「月刊公益オンライン」の無料登録の方限定記事や各月の事務局の作業内容がつかめる「実務カレンダー」をご覧いただけます。
最新の法改正に関する
セミナーなどの情報を受け取れます!
公益認定法改正など、最新の法改正とその対応に関するセミナーをはじめ、公益・一般法人の運営に必要な知識を深めることができる講習会の情報をお受け取りいただけます。
よくあるご相談内容をピックアップして
メールにてお届けいたします!
よくあるご相談内容に弁護士や税理士などの専門家が回答するQ&A集を、メールにてお受け取りいただけます。日々の業務のお困りごとや疑問解決にお役立てください。
公益法人・一般法人に特化した専門書籍を
10%オフで購入できます!
月刊公益オンラインを運営する公益法人協会では、社団・財団法人のための出版物を多数発行しております。無料登録いただいた方は、通常価格から10%割引でご購入いただけます。
