職員の賃金改善に関わる制度と対応
2023年04月24日

石井妙子
(いしい・たえこ 弁護士)
(いしい・たえこ 弁護士)
Ⅰ はじめに
コロナ禍やウクライナでの戦争、円安などの要因によるエネルギー高騰と原材料価格の上昇により、インフレが進んでいる。厚生労働省が従業員5人以上の事業所3万余りを対象に行っている「毎月勤労統計調査」の速報値(令和5年1月分、同年3月7日公表)によると、物価上昇により、今年(令和5年)1月の実質賃金は去年(令和4年)1月に比べて4.1%減少している。インフレ手当の新設やベースアップなどにより賃金アップを図っている企業もあるが、公益法人においても職員のモチベーションの維持、人材の確保のために、処遇アップの検討が必要な状況となっている。
Ⅱ 賃金に関する法規制
1 最低賃金制度
⑴ 最低賃金額の算出法賃金の額に関する法規制としては、最低賃金法がある。最低賃金制度は、国が法的強制力をもって賃金の最低限度を定め、最低賃金額未満の賃金で労働者を雇用することを禁止する制度である。最低賃金には、地域別最低賃金と産業別最低賃金があり、地域別最低賃金は、都道府県ごとに定められている。一方、産業別最低賃金は、特定の産業について、関係労使の申出により、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を設定しているものである。
最低賃金制度の対象となるのは、毎月支払われる基本的な賃金であり、具体的には実際に支払われる賃金から、次の賃金を除外したものを時間額に換算して、最低賃金額以上であるかどうかを判断する(最低賃金法4条3項、同法施行規則1条)。
【除外される賃金】
① 臨時に支払われる賃金② 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金③ 時間外労働・休日労働・深夜労働の割増賃金④ 皆勤手当、通勤手当、家族手当
月刊公益オンラインとは
財団法人・社団法人に特化した支援プログラム"シェアコモン200"の利用法人様向け実務専門誌『月刊公益』の記事を中心に、公益・一般法人に関するニュースや専門家による解説などをお届けする情報配信プラットフォームです。
詳しくはこちら
無料登録のご案内
「月刊公益オンライン」に無料登録すると、登録の方限定の記事をご覧いただけるなど、実務に役立つさまざまな特典をご用意しております。

限定記事や
実務カレンダーが読めます!
「月刊公益オンライン」の無料登録の方限定記事や各月の事務局の作業内容がつかめる「実務カレンダー」をご覧いただけます。

最新の法改正に関する
セミナーなどの情報を受け取れます!
公益認定法改正など、最新の法改正とその対応に関するセミナーをはじめ、公益・一般法人の運営に必要な知識を深めることができる講習会の情報をお受け取りいただけます。

よくあるご相談内容をピックアップして
メールにてお届けいたします!
よくあるご相談内容に弁護士や税理士などの専門家が回答するQ&A集を、メールにてお受け取りいただけます。日々の業務のお困りごとや疑問解決にお役立てください。

公益法人・一般法人に特化した専門書籍を
10%オフで購入できます!
月刊公益オンラインを運営する公益法人協会では、社団・財団法人のための出版物を多数発行しております。無料登録いただいた方は、通常価格から10%割引でご購入いただけます。